インビザラインとワイヤー矯正 9つの違いを徹底解説!

ハミガキ

「インビザラインとワイヤー矯正はそれぞれ特徴が異なり、どちらにもメリット・デメリットがあります。事前に違いについて把握しておくと自分に合った治療法を選択しやすいです。小児矯正におけるインビザラインとワイヤー矯正9つの違いを歯科医が解説します」

みなさん、こんにちは!

東京都大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門の歯科医院「ABC Dental」の院長です。

子供の歯列矯正にご興味のある親御様は、インビザラインとワイヤー矯正のどちらを選ぶべきか…とお悩みかもしれません。

インビザラインとワイヤー矯正はそれぞれ特徴が異なり、どちらにもメリット・デメリットがありますので、事前に違いについて把握しておくと自分に合った治療法を選択しやすいです。

そこでこの記事では、小児矯正におけるインビザラインとワイヤー矯正9つの違いを歯科医が分かりやすく解説していきます。ぜひ、今後の参考にしてみてください。

▽先読み!この記事で分かること

・子供用のインビザラインは成長を利用した治療が可能

・子供のワイヤー矯正は永久歯が生え揃った頃から

・最適な治療方法は医師に相談し、検査、アドバイスが必要

ご質問:子供の矯正におけるインビザラインとワイヤー矯正の違いは?

歯痛を訴える女の子

ご質問をいただきました。

ご質問者様:10歳の娘さんのお母様

子供の歯並びが私に似ていて、上の歯も下の歯もガタガタ状態になっており、歯医者さんに叢生(乱ぐい歯)という不正咬合の症状が見られ、咬み合わせに異常があると診断されました。

上下の顎の発育バランスに問題があるため、小児矯正を検討していますが、治療方法はインビザラインとワイヤー矯正があり、どちらが良いのか迷っています。

両者の違いを詳しく教えていただきたいです。よろしくお願いします。

回答:それぞれ特徴が異なり、メリット・デメリットがあります

質問に回答します。

次の章で子供の矯正におけるインビザラインとワイヤー矯正の9つの違いについて詳しく解説していきます。

▽まずは歯科医師に相談しましょう

お子様の歯並びが気になったら、まずは歯科医師に歯並びについて相談し、口腔内の状態を見てもらい、レントゲンやCT撮影などの精密検査が必要になります。

歯科医は検査結果のデータを元に、患者様一人ひとりの症状や不正咬合の程度に合わせて適切な治療方法を判断しますので、その際に歯科医から治療内容や費用、治療期間などの詳しい説明を受けましょう。

小児矯正におけるインビザラインとワイヤー矯正の特徴

歯列矯正のイラスト

まずは、インビザラインとワイヤー矯正の特徴について知っておきましょう。

インビザライン矯正とは?

インビザライン矯正は、1997年にアメリカのアライン・テクノロジー社によって開発されたオーダーメイドのマウスピース型矯正治療の一つです。

患者様一人ひとりに合わせて、形の違う透明のマウスピースを複数製作し、定期的に交換することで歯を動かしていき、歯並びを改善する矯正方法になります。

2023年現在、世界100ヶ国以上の国々、1,500万人以上の症例数があり、世界で最も利用されているマウスピース治療です。

▽インビザライン矯正の特徴

・薄いプラスチック製のマウスピース(アライナー)を使用

・透明な装置が目立ちにくい(矯正中であることに気付かれにくい)

・装置(マウスピース)は取り外し可能

開発当初は適応できる症例が限られていましたが、度重なる研究と改良により、適応する症例の幅はワイヤー矯正に近くなっています。

ワイヤー矯正とは?

ワイヤー矯正とは、ブラケットと呼ばれる矯正装置を歯の表面1本1本取り付けて、その部分に金属製のワイヤーを通し、ワイヤーの復元力を活かして歯を動かしていく矯正方法です。

最も長い歴史があり、古くからあるオーソドックスな治療方法です。マウスピース矯正よりも適応範囲が広く、実績も豊富にあるため、ほとんどの症例に対応することができます。

金属製のブラケットは目立ちやすいため、近年は目立ちにくいクリアなプラスチック製、自然で審美性に優れたセラミック材質など、様々な種類のブラケットがあります。

▽ワイヤー矯正の特徴

・金属製のワイヤーは目立つ

・装置の取り外しは不可

・ほとんどの歯並びに適応できる

ワイヤー矯正は適応できる症例がマウスピース矯正よりも幅広く、歯の重なりが大きい症例や広範囲にわたる歯の移動もワイヤー矯正によって治療が可能です。

小児矯正におけるインビザラインとワイヤー矯正を比較

ワイヤー矯正とマウスピース矯正 提案と選択

インビザラインとワイヤー矯正の違いは以下の9つの点が異なります。

インビザラインワイヤー矯正
適応範囲限られるほとんどの症例に対応
装置の目立ちやすさほとんど目立たない金属製は目立つ
歯を動かす量最大0.25㎜0.3〜0.5㎜程度
痛み少ない出やすい(個人差あり)
取り外し可能不可
虫歯・歯周病リスク低い高い
自己管理必要必要なし
費用40〜100万円程度60〜100万円程度
治療期間1〜1年半程度1〜2年程度

ワイヤー矯正はほとんどの症例に対応できる幅広さ、多くの実績・症例数がありますが、比較的痛みが出やすく、装置が目立つ、衛生面や虫歯のリスクが高くなるのはデメリットです。

一方で、インビザラインはワイヤー矯正のデメリットをカバーしており、目立ちにくい、痛みが少ない、お手入れがしやすい、虫歯リスクが低いため、お子様の負担も軽減されます。

インビザラインとワイヤー矯正9つの違い

マウスピースを持った女性

ここからは、インビザラインとワイヤー矯正9つの違いを詳しくみていきましょう。

1)適応範囲

インビザライン:△

ワイヤー矯正:◯

適応範囲はインビザライン矯正よりもワイヤー矯正の方が広いです。

ワイヤー矯正は長年の歴史を持つため、歯列矯正としてかなり確立されており、多くの実績と症例数が豊富にあります。ほとんどの症例に適応できる幅広さがメリットです。

凸凹のある難しい歯並びの症例であっても、ブラケットを付ける位置やワイヤーの締め付け度合いを調整することで、広範囲に歯を大きく移動させることができます。

一方で、インビザライン矯正では、アライナーがはまりにくい複雑な歯の形をしている症例や抜歯が必要な重度の症例の場合、適用できない可能性があります。

インビザライン矯正の適応範囲は年々進化していますが、ワイヤー矯正と比べると適応範囲は限られますので、重度の不正咬合が見られる場合は、ワイヤー矯正が選択となるでしょう

2)装置の目立ちにくさ

インビザライン:◯

ワイヤー矯正:△

装置の目立ちにくさは断然、インビザラインの方が優れています。

インビザラインはポリウレタン製の透明なマウスピースを装着しますので、人と会話中も装置が目立たず、他の人から矯正中だと気づかれることはほとんどありません。

一方で、ワイヤー矯正の場合、金属製のブラケットとワイヤーを使用すると、歯の表面に装置が付くため、どうしても目立ってしまいます。

目立たないようにするには、金属製の装置を歯の裏側に付けるリンガルブラケット(舌側矯正)や白いブラケットやホワイトワイヤーなどの素材を使用した装置を選ぶ必要があります。

矯正期間は1年から3年近くかかりますので、装置が目立っても気にならないか、それとも気になるか前もって検討しておくと良いでしょう。

3)歯を動かす量

インビザライン:△

ワイヤー矯正:◯

歯を動かす量はワイヤー矯正の方が大きくなります。

インビザラインの場合、10日〜2週間ごとに自宅で新しいマウスピースに交換し、歯を動かす量は個人差がありますが、1つのマウスピースで最大で0.25㎜動きます。

小児期のマウスピース矯正は実際に歯を動かすというよりも、7歳〜9歳くらいの早期に治療を始めることで、顎と歯の成長発育を促しながら、歯並びと咬み合わせを改善していきます。

一方で、ワイヤー矯正ではワイヤーが元に戻ろうとする力を利用して歯を動かしますので、歯が動く量は1ヶ月で0.3〜0.5㎜程度と大きく動き、口元が大きく変わります。

小児矯正においては歯が大きく動けば良いというわけではなく、成長を利用して歯を動かす量をコントロールし、少しずつ歯を動かしていきます。

4)痛みの少なさ

インビザライン:◯

ワイヤー矯正:△

痛みは個人差がありますが、ワイヤー矯正の方が出やすい傾向にあり、インビザラインは痛みは少ないです。

インビザライン矯正は1~2週間ごとに自宅で新しいマウスピースに交換し、少しずつ歯を動かして力をかけていくため、痛みや違和感が少ないです。

初めてマウスピースを装着した直後や新しいマウスピースに交換した直後は痛みや違和感が出やすいですが、お子様の適応力は素晴らしく、装着後、数時間〜翌日くらいに治まります。

アライナーの表面はなめらかで約0.5mmと薄く、装着時に痛みをほとんど感じず、口の中の粘膜や舌が傷つくリスクも少ないです。

一方で、ワイヤー矯正の場合は1ヵ月に1回くらいの頻度で歯科医が装置を調整し、1回あたり0.5mm程度歯を動かすため、歯列全体に強い力がかかり、痛みが強くなる傾向にあります。

ワイヤー矯正は矯正治療を開始した直後やワイヤー調整直後に痛みやすく、金具の装置が口腔粘膜や舌に当たって痛みやすく、口内炎や傷ができることもあります。

5)取り外し

歯科用マウスピースを持つ女性

インビザライン:◯

ワイヤー矯正:✕

インビザラインの装置は取り外し可能ですので、食事中や歯磨き中には自分で取り外すことができ、清潔に保つことができるので衛生的です。

一方で、ワイヤー矯正は歯の表面に装置が固定された状態になり、食事や歯磨きの際に、自分で取り外すことはできません

硬い物や粘着性の高い食べ物は装置に引っかかったり、汚れが溜まりやすいので、歯ブラシと歯間ブラシ、フロスなどを併用して入念に歯磨きをし、衛生面を保つ必要があります。

6)虫歯・歯周病のリスクの低さ

インビザライン:◯

ワイヤー矯正:✕

インビザラインは自分で装置を取り外すことができるため、通常通り歯磨きをすれば口腔内を清潔に保つことができます。虫歯や歯周病リスクは少ないのがメリットです。

しかし、ワイヤー矯正は装置をつけっぱなしの状態になりますので、汚れやプラーク、歯石などがたまりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まるため、治療中は丁寧なケア必要です。

7)自己管理

インビザライン:△

ワイヤー矯正:◯

ワイヤー矯正は装置を取り外すことができないため自己管理は必要ありませんが、インビザラインは1日20時間以上の装着時間を守らなけばならず、自己管理が求められます。

基本的には、食事中と歯磨き時以外は常にマウスピースを装着しなければなりませんので、お子様自身が習慣を身につける必要があります。

また、インビザラインは透明で薄いため、なくしてしまう患者様も一定数いらっしゃいます。紛失を予防するために、外してお手入れをしたら、ケースに入れて保管することが大切です。

8)費用プランの多さ

インビザライン:◯

ワイヤー矯正:△

一般的には、インビザラインの方が割安になります。

矯正治療は自由診療なため歯科医院によっても料金が異なり、実際に矯正治療にかかる料金は矯正方法、矯正する範囲と症例の難易度によっても変わってきます。

インビザラインは症状にあわせて複数のプランが用意されており、子供用のインビザラインファーストの場合、料金の目安は40万円~100万円です。

※子供用のインビザラインファーストは乳歯と永久歯が混在する6~10歳くらいの子ども向けのプランです。歯並びを整えながら、永久歯に必要なスペース作りを同時に行います。

一方で、ワイヤー矯正の料金は表側矯正や裏側矯正などの矯正方法、矯正装置の素材によって異なりますが、一般的な金属を使った表側矯正の場合、60万円〜100万円が相場です。

9)治療期間

インビザライン:◯

ワイヤー矯正:◯

治療期間は矯正装置の種類や矯正範囲、症状によって個人差がありますが、インビザラインは1年〜1年半、保定にも1年半程度かかります。

お子様のワイヤー矯正は永久歯が生え揃った頃の11~18歳頃に適応されます。全体矯正の場合は1〜3年程度、部分矯正の場合は1年程度が目安です。

インビザラインは自分でマウスピースを交換するため、問題なければ2ヶ月に1回程度となりますが、ワイヤー矯正の場合は、月に1回程度通院して、ワイヤーの調整を行う必要があります。

【小児矯正】インビザラインとワイヤー矯正はどちらが良い?

床に座る笑顔の子供

インビザラインは装置の取り外しが可能なため、日常のストレスが少なく、幼少期から治療を始めることで、体の成長を利用した矯正ができる点が大きなメリットです。

▽インビザラインが向いているお子様

・目立たない矯正をしたい方

・治療中の痛みを軽減したい方

・体の成長を利用した矯正をしたい方

・食事制限やストレスを避けたい方

・自己管理ができる方

子供のワイヤー矯正は顎の成長が終了し、永久歯が生え揃った頃に適応されます。インビザラインよりも大きく歯を動かす事ができますので、歯並びの乱れが大きい方に適しています。

▽ワイヤー矯正が向いている子様

・歯並びの乱れが大きい方

・咬み合わせに大きな問題がある方

・抜歯が必要な症例

・装置が目立っても気にならない方

・口元の印象を変えたい方

お子様の歯並び相談は歯科医院に相談しましょう

インビザラインとワイヤー矯正はそれぞれメリットとデメリットがあり、どちらが適しているかどうかは、お子様一人ひとりの症状や不正咬合の程度に合わせた医師の判断が必要です。

最適な方法を知りたい場合は、まずは歯科医院に相談し、お子様の歯並びと咬み合わせの状態を診てもらい、精密検査の結果を元に医師に適切な治療方法について説明を受けましょう。

まとめ

大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門「ABC Dental」ではLINE相談と無料カウンセリングを行っております。豊富な経験がございますのでどうぞ安心してご相談ください。

東雪谷、南雪谷、雪谷大塚町、上池台、久が原、南馬込、北馬込、西馬込、東馬込、仲池上、北嶺町、東嶺町、西嶺町、池上、下丸子などのエリアからも通いやすい小児歯科医院です。