「歯列矯正の治療は確かに大人になってからでも可能ですが、まだ顎骨が柔らかい子供のうちに小児矯正を始めておけば、根本的な歯並び改善になる大きなメリットがあるのです。子供の歯並びを放置するリスクと早期治療が推奨される理由について小児歯科医が解説!」
みなさん、こんにちは!
東京都大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門の歯科医院「ABC Dental」の院長です。
「子供の歯並びが気になるけれど、矯正治療には時間もお金もかかるから、成人になってから考えればいいでしょう…」とお考えの親御様は多くいらっしゃいます。
しかし、体の成長が著しい子供の場合、たった2年後・3年後に歯ならびが驚くほど悪化してしまい、治療期間と費用がさらに大きくなってしまったケースが少なくありません。
歯列矯正の治療は確かに大人になってからでも可能ですが、まだ顎骨が柔らかい子供のうちに小児矯正を始めておけば、根本的な歯並び改善になる大きなメリットがあるのです。
今回は、子供の歯並びを放置するリスクと早期治療が推奨されるメリットについて小児歯科医が解説していきます。ぜひ、参考にしてみてください。
▽先読み!この記事で分かること
・自然治癒は見込めない
・早期の矯正治療が推奨される
・乳歯の段階では隙間が空いているくらいがちょうどよい
・顎関節症になるリスクがある
・顎の骨の成長を利用した根本的な治療が可能
Table of Contents
ご質問:子供のガタガタの歯並びを放置したらどうなりますか?
ご質問をいただきました。
ご質問者様:5歳の娘さんのお母様
娘の歯並びについて相談です。
娘の歯並びは上下の歯がデコボコに生えていて歯磨きがしにくいです。歯並びが悪いと虫歯になりやすいと聞いたので、小児矯正に興味を持ちました。
ただ治療には期間もお金もかかるので、このまま何もしなくても良い方向に成長するのでは…と期待もしています。
このまま放置して治る可能性はありますか?自然に治る可能性があるならば、小児矯正する必要はないかな?と思うので、歯医者さんに聞いてみたいです。よろしくお願いします。
回答:自然治癒は見込めず、早期の矯正治療が推奨されます
質問に回答します。
お子様の前歯がガタガタに生えてきて、歯列がボコボコになっている場合、「叢生(そうせい)」と呼ばれる不正咬合の症状である可能性があります。
叢生は隣り合う歯と歯がすき間なく並んでいて、歯が重なって生えてきたり、ねじれて生えてくるため、歯並びがガタガタに乱れてしまう症状です。八重歯も叢生の一種になります。
叢生の症状は日本人の子供に最も多い不正咬合となっており、全体の80%を占めているほど、よく起きている歯のトラブルです。
個人差はありますが、子供の歯並びは永久歯が生え始める6歳までに決まり、そのまま放置しても自然治癒は見込めません。逆に目立ってくる傾向にあるので注意が必要です。
歯並びがガタガタに生えてくる原因は骨格的な問題もありますが、指しゃぶりや舌の癖、口呼吸などの習慣によって歯並び悪化に繋がると考えられます。
叢生の症状を放置しているとブラッシングの磨き残しによる虫歯や歯周病リスクの上昇、顎関節の悪影響、体のバランスなどにも影響を及ぼす可能性があるので早期治療が必要です。
お子様の歯並びが気になる場合、一度歯科医院に歯並び相談をし検査を受けて、歯並び悪化になった原因を説明してもらい、矯正治療について検討されることをおすすめします。
子供の叢生(そうせい)とはどんな症状?
▽子供の叢生(そうせい)とは以下のような症状です。
- 歯並びがガタガタしている
- 歯の表面がボコボコしている
- 歯並びが不揃いに生えている
- 歯が重なり合って生えている
- 歯がねじれて生えている
叢生は「乱杭歯(らんぐいば)」とも呼ばれ、「八重歯」も叢生の一つになります。
叢生になる原因は詳しく後述しますが、歯の大きさに対して、歯の土台となる顎(歯槽骨)の成長が不十分であるため、永久歯がきれいに並ぶスペースが確保できていないことです。
叢生のように歯並びが悪い状態を「不正咬合(ふせいこうごう)」といい、噛み合わせに問題があるため日常生活にも支障をきたす可能性があり、早期の発見と適切な治療が大切です。
子供の叢生(歯のガタガタ)を放置するとこうなります
子供のガタガタの歯列をそのまま放置するとどうなるでしょうか?
当院に歯並び相談に来院されたケースをご紹介しましょう。
▽【5歳時】
来院時、年齢は5歳で乳歯の時期でした。まだ永久歯に生え変わる前だったため、ご本人の希望もあり、まだ矯正治療はせずに、そのまま様子を見ることになりました。
▽【7歳10か月(叢生・クロスバイト)】
2年経過した頃、「先生!歯並びが悪くなってしまいました…」と来院されました。
乳歯の時は特に問題はありませんでしたが、何もしなかったら永久歯の歯並びがガタガタになってしまったというケースです。
精密検査をした結果、叢生とクロスバイト(交叉咬合)という不正咬合の症状があると診断し、症状の悪化を防ぐために矯正治療を開始しました。
子供の叢生(歯のガタガタ)は自然に治る?
先ほどの症例のように、乳歯の段階で隙間なく歯と歯が並んでいる場合、永久歯が生えてきたときにガタガタの歯列になってしまうケースがほとんどです。
その理由は、永久歯は乳歯よりも1.2倍ほどサイズが大きいので、乳歯がピタリときれいに並んでいると永久歯がきちんと並ぶスペースが足りず、重なり合って生えてきてしまうのです。
乳歯の段階では隙間が空いているくらいがちょうどよく、スペースが確保できていれば永久歯が生えてきたときに、きれいにちゃんと並ぶことができます。
しかし、歯の大きさに対して顎が小さい場合は、歯がきれいに並ばずに、歯並びがガタガタになったり、受け口、出っ歯などの不正咬合になりやすいので注意が必要です。
一般的に永久歯に生え変わる6歳頃には歯並びが決まってしまうので、乳歯の段階で不正咬合の症状がある場合は、歯並びがより複雑化する前に矯正治療を検討されるとよいでしょう。
子供の歯がガタガタになる5つの原因
子供の歯がガタガタになる理由は遺伝的な骨格の問題もありますが、日常生活において指しゃぶりや舌で歯を押し出す癖など、口腔習癖によっても引き起こることがあります。
①骨格的な問題
親御様に歯のガタガタがみられる場合、お子様に顎骨の大きさ、歯の大きさ、上下の顎骨の成長や位置などが遺伝しやすく、その結果、歯並びも似てくるということがあります。
②歯の大きさに対して顎骨が小さい
歯の大きさに対して、骨のスペースが狭い場合、歯がきちんと並ぶスペースが足りずに歯がガタガタに生えてきてしまう可能性があります。
③乳歯を早期に失った
乳歯の時期に虫歯ができて歯を失ったり、治療で抜歯した場合、抜けたスペースに歯が移動して歯列が乱れることに繋がります。
④口腔習癖
日常的に指しゃぶりの癖が長期的に続いたり、舌で前歯を押し出す癖があったり、下唇を吸うといった行動によって顎の成長に影響を及ぼし、歯並び悪化を引き起こすことがあります。
⑤口呼吸
本来、人間は鼻呼吸ですが、子供に鼻詰まりや口腔機能の発育・発達不足によって口を開けて呼吸することが増え、唇の筋肉が緩んで舌が下に落ちるため、歯並び悪化に繋がります。
子供の叢生を放置するリスク
▽子供の叢生を放置すると、以下のようなリスクが起こりえます。
- 虫歯、歯周病になりやすくなる
- 言葉の発音が悪くなる(サ行やタ行)
- 咀嚼が難しくなる
- 顎関節症になるリスクがある
- 慢性的な肩こりや頭痛の原因になる
- 外部からの衝撃、怪我のリスク
- 見た目のコンプレックス、ストレス
歯がガタガタのまま放置するとブラッシングが難しくなり、歯が重なって生えている場合に細菌が溜りやすく、虫歯や歯周病が発生するリスクが高まります。
また、噛み合わせが悪いために前歯でものを噛み切ることが難しくなり、咀嚼がしにくいため、消化不良にも繋がって、胃腸の負担が大きくなることがあるので注意が必要です。
噛み合わせがズレている状態で顎を動かすと、顎関節や筋肉に負担がかかり、顎関節症を発症するリスクや慢性的な肩こりや頭痛の原因にもなります。
子供の叢生・歯のガタガタの治療法
子供の叢生・歯のガタガタは顎の骨を拡げる治療(咬合育形成)が可能となりますので、多くのケースで歯を抜かずに治療することができます。
マウスピース矯正
マウスピースタイプの矯正装置を使って、同時に口周りや舌のトレーニングを行い、口腔習癖を改善することで、歯並びをきれいに整えて噛み合わせを改善します。
乳歯から永久歯へ生え変わる時期よりも前の段階でマウスピース矯正をすることで、多くの場合、抜歯することなく治療することが可能です。
上顎拡大装置
上顎を広げるために上顎拡大装置を上顎に使い、上の顎の成長を促す治療法です。低年齢で始めた方が短期間で治療できるため、治療開始は女子の場合は10歳まで、男子の場合は12歳までが推奨されます。
ブラケット矯正
個人差がありますが、永久歯が生え揃う15歳頃になると、成人矯正と同じブラケット矯正が有効になります。
※叢生の症状によっては矯正装置だけでは不十分と判断した場合、外科的手術を伴う矯正が必要になることがあります。
子供の叢生は何歳から矯正治療できる?
ベストな治療開始のタイミングはお子様一人ひとりの叢生の症状によって異なり、歯科医院の適切な診断が必要になりますので、まずは歯科医院に歯並び相談をすることが大切です。
体の成長スピードは一人ひとり異なり、お子様の顎の成長・発育の状態、歯並びの状態や成長具合に合わせて治療開始のタイミングを見極める必要があるからです。
小児矯正の治療は主に以下の2段階があります。
①一期治療(4歳~12歳頃の時期に開始する)
- 歯の土台、顎の骨(歯槽骨)の成長を促進させる治療
- 永久歯が生えそろう前に開始する
- 乳歯と永久歯が混在している時期
- マウスピース型矯正装置が中心
第一期治療の費用相場:30万円~60万円程度
②二期治療(12歳以降の時期に開始する)
- 最終的な噛み合わせを調整する
- 永久歯が生えそろった後に開始する
- マルチブラケット(ワイヤー装置)やマウスピース型矯正装置
第二期治療の費用相場:40万円~100万円程度
一期治療から受ける必要があるケース、二期治療からで良いケースもあり、ケースバイケースですから、まずは歯科医の専門的な意見を参考にされると良いでしょう。
小児期に矯正治療を開始するメリット
▽小児期に矯正治療を開始するメリットは以下の通りです。
- 歯を抜かない治療ができる
- 永久歯が正しい位置に生える土台を作る
- 顎の正常な成長を促進させて、安定させる
- 正しい噛み合わせに改善する
- 歯並びが悪くなる癖や習慣を改善する
- 後戻りしづらい
子供のうちに矯正治療を始めることで抜歯するリスクを抑えることができ、顎の骨の成長を利用した根本的な治療が可能になるのが大きなメリットです。
顎の骨を広げて歯が並ぶスペースを確保するため、正常な噛み合わせに改善されて、永久歯が正しい位置に生える土台作りになります。
小児矯正によって見た目がよくなり、お顔つきも洗練されるため、笑顔に自信を持てるようになるのも嬉しいポイントです。
※症例によっては外科手術を伴うこともあります。
子供の歯並びのご相談は「ABC Dental」へお気軽にどうぞ
子供のガタガタの歯並びは虫歯や歯周病になりやすく、顎に負担がかかって顎関節症になるリスクなど、お口と身体へ大きな影響が出やすいため注意が必要です。
子どもの不正咬合は放置せずに、まずは小児矯正の実績が豊富な歯科医院を探して歯並びについてカウンセリングを受けてはいかがでしょうか。
当院では親御さまとお子様のご希望を伺いながら、現在の歯並びの症状について説明させていただき、適切な矯正治療のご提案をいたします。
お子様の歯並びが気になる方は、ぜひお子様と一緒に大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門「ABC Dental」の無料カウンセリングをご利用くださいませ。
まとめ
子供の不正咬合は日常の癖や習慣を治さない限り、成長と共に自然治癒することはほとんどなく、症状が目立ってくる傾向にあるので、早めに歯科医院で検査・診断を受けましょう。
小児矯正では矯正装置を使用するほか、口周りや舌のトレーニングも行い、根本的な解決に繋がるため、結果的に治療期間と費用も抑えられることに繋がります。
「ABC Dental 子ども専門 小児歯科 矯正歯科」では、自由が丘、武蔵小杉、新丸子、多摩川、東雪谷、南雪谷、雪谷大塚町、上池台、久が原、南馬込、北馬込、西馬込、東馬込、仲池上、北嶺町、東嶺町、西嶺町、池上、下丸子などのエリアからも通いやすい小児歯科専門医院です。