「乳歯が残っていて、乳歯と永久歯が混在する時期に矯正を始めることで、永久歯がきれいに生え揃う土台作りができ、口腔内環境が清潔になるなど様々なメリットがあります。永久歯が生える前に治療するメリットについて詳しく解説します。」
みなさん、こんにちは!
東京都大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門の歯科医院「ABC Dental」の院長です。
小児矯正に関心があるけれど、子供の乳歯が残っている状態で矯正を始めても、そのうち抜けてしまうのに意味があるのかな?とお考えではありませんか?
確かに、乳歯はいずれ抜け落ちてしまいますから、矯正をするならば永久歯がきちんと生え揃った頃でいいんじゃないの?と思うのも自然なことでしょう。
実際には、乳歯が残っていて、乳歯と永久歯が混在する時期に矯正を始めることで、永久歯がきれいに生え揃う土台作りができ、口腔内環境が清潔になるなど様々なメリットがあります。
そこで今回は、乳歯がある時期に矯正する意味、永久歯が生える前に治療するメリットについて詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
▽先読み!この記事で分かること
・小児矯正は永久歯がきれいに並ぶ土台作りをすることが目的
・乳歯列期に矯正治療を行う必要性について
・小児矯正をする5つのメリットがある
Table of Contents
ご質問:乳歯が残っている時期に矯正するのは無意味では?
ご質問をいただきました。
ご質問者様:4歳息子と7歳娘のお母様
現在、二人の子供の小児矯正を考えています。
夫と話し合っている時に、「乳歯が残っている時期に矯正しても、永久歯が生えてきたら無駄になってしまわない?」と疑問が湧いてきました。
乳歯を動かしても抜けてしまうので無意味になるのなら、わざわざ低年齢で小児矯正をしなくても、永久歯が生えてから始めたほうが良いのでは?と思っています。
娘の同級生の子供は小児矯正を開始しているようで、今から始めるべきか、待ったほうが良いのか分からず困っています。アドバイスをもらえると助かります。
回答:乳歯の時期の矯正は顎の成長発育を利用し、土台を根本から改善します
ご質問ありがとうございます。
結論から申し上げますと、小児矯正の場合、乳歯を動かして歯並びを治すというよりは、子供の顎・骨や口周りの筋肉の成長・発育を良い方向に向かわせることがメインです。
これから永久歯が生えてきたときに、歯がきれいに並ぶスペースをしっかりと確保して、歯並びが悪くなる悪癖や癖を取り除いておき、しっかりと土台作りをすることが目的です。
つまり、小児矯正では土台作りのためにマウスピース矯正や床矯正、口周りのトレーニング等を行いますので、永久歯が生えたときに無駄になることはなく、むしろ大いに役立ちます。
永久歯の生え変わりが完了していない段階で矯正するのは早すぎるのでは?と思うお気持ちはよく理解できますが、永久歯が正常に生えてくる土台づくりに最適な治療法になります。
小児矯正は意味ない?成人矯正との違い
乳歯はいずれ抜けてしまうため、小児矯正は意味ないと考えてしまいがちですが、成人矯正との違う目的を理解すれば、小児矯正の必要性がお分かりいただけると思います。
▽小児矯正の目的
・顎と骨の成長発育を利用して、良い方向へ促す
・正しい歯並びの土台作り
・指しゃぶり、舌の癖、口呼吸を改善する
・ほとんどのケースで抜歯は不要
・骨格のゆがみを予防する
▽成人矯正の目的
・歯を動かして歯並びを改善する
・抜歯をして歯を並べるスペースを作る
このように、同じ歯の矯正であっても、小児矯正と成人矯正は目的が異なり、小児矯正が無駄になることはありません。
小児矯正は子供の成長過程に発育を利用して、正しい歯並び土台そのものを作るため、乳歯が抜けた後も、自然な形で永久歯がきれいに並びます。抜歯のリスクがないのもポイントです。
大人になってから歯を動かして歯並びを治すよりも、子供のうちに根本的な原因を解決しておくことで、歯並びが整えられるほか、口腔内環境が良くなるなど多くのメリットがあります。
小児矯正では歯を直接動かせないの?
小児矯正では、歯を直接動かしている要素は少ないため、成人矯正に比べて、歯を思い通りに動かすことは難しいです。
そう聞くと、小児矯正で歯並びが治らないように感じますが、小児矯正で土台をしっかり整えておいた上で永久歯が生えてきてくれば、基本的には正しい位置に歯が並ぶことになります。
人間の歯はスペースさえきちんとあれば、正しい位置に生えてくる機能が備わっていますので、 土台をしっかり整えてあげて、十分なスペースを確保する必要があるのです。
できれば、担当の歯科医に写真のデータを見せてもらって、ビフォー・アフターを確認すれば治療の進み具合がわかり、実感が湧きやすいでしょう。
小児矯正治療が終わった後も、歯並びが元の位置に戻らないように、保定装置(リテーナー)を使って歯をしっかりと固定することも大切です。
小児矯正をする5つのメリット
小児矯正は永久歯が生え揃う前に、歯がきれいに並ぶための土台作りだとお分かりいただけたと思いますが、小児矯正のメリットは他にも5つのメリットがあります。
1. 顎の歪みを改善する
顎の歪みを放置したまま大人になると、骨の骨格が歪んだまま成長してしまい、顎やお顔の輪郭が歪んでしまうケースがあるので注意が必要です。
小児矯正をすることで、子供の顎の骨、口周りの筋肉の成長を適切に促すため、顎の歪みを改善することができて、お顔が左右対称になり、バランスがよくなるメリットがあります。
2. 口腔内環境が清潔になる
小児矯正を始めると、食後に歯磨きをする習慣がついて、口腔内環境を清潔に保つことができ、将来の虫歯や歯肉炎の発生リスクを抑えることができます。
歯並びが改善されると、歯と歯の間の汚れをブラッシングで落としやすくなり、お口の環境を整えられるのです。
3. 発音が明瞭でスムーズになる
滑舌が良くないお子様の場合、小児矯正することで、発音が明瞭になり、タ行やサ行の滑舌が良くなって、スムーズな発音がしやすくなります。
4. 大人になってから抜歯せずに矯正できる
大人になって永久歯が生え揃った頃に矯正をする場合、顎の成長が完了しているので、歯をきれいに並べるために、何本か永久歯を抜いて、スペースを作ることになります。
小児矯正をしておけば、顎の成長を利用しながら歯がきれいに並ぶスペースを確保できるので、大人になった時に永久歯を抜かずに矯正治療できる可能性があります。
5. 笑顔に自信が持てる
歯並びがきれいな子供は思い切り笑って、笑顔に自信を持つことができます。歯並びが悪いコンプレックスが解消されて、思春期になっても笑顔で生活できるようになります。
矯正の1期治療と2期治療について
矯正は時期によって1期治療と2期治療に分けられます。
一期治療の時期と目的
「一期治療」は乳歯と永久歯が混在する混合歯列期に行われ、3歳から9歳くらいまでに行われる早期治療になります。
まだ乳歯が残っている時期になりますので、歯を動かすというよりも、顎の成長を正しい位置に促し、上下の顎のバランスを整えて、これから生え揃う永久歯を正しい位置に誘導します。
早期治療することで、成人になってすべての歯が永久歯に生え変わってから矯正する「二期治療」の負担を軽減し、短い治療期間で完了できる可能性が高いです。
二期治療の時期と目的
「二期治療」は、永久歯が生え揃ってから行う矯正のことで、実際に歯を動かして、歯並びを改善していくための治療です。成長期を終えた12歳から成人になってから行われます。
大人になると骨や顎の成長が止まっていますので土台から立て直すことはできず、マウスピース型矯正装置やワイヤー装置を使って、上下の歯の噛み合わせや歯並びを整えていきます。
「一期治療」で顎が適切に広がり、かみ合わせと歯並びに問題がなければ、永久歯に生え揃うころに矯正装置が不要となり、「二期治療」をしなくても、歯並びが整うこともあります。
乳歯のうちに矯正したほうがいいケース
お子様のすべてが乳歯がある時期に矯正する必要があるわけではありませんが、不正咬合が見られる場合は、乳歯列期に矯正治療を行うことが推奨されます。
不正咬合の症状を放置すると、かみ合わせと歯並びがさらに悪化することがあるので、小児矯正治療を行っている歯科医院へお早めに相談しましょう。
上顎前突(じょうがくぜんとつ)
「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」とは、上の歯が前に突出しているかみ合わせのことで、いわゆる「出っ歯」のことです。
口がポカンと空いていることが多く、見た目の問題だけでなく、ドライマウスになりやすく、虫歯菌や歯周病のリスクが高まります。
上顎前突になる原因は、顎骨的に下顎が小さい、骨格の歪み、指しゃぶりや舌を押し出す癖などが考えられますが、小児矯正によって顎のバランスを改善する効果が期待できます。
反対咬合
「反対咬合(はんたいこうごう)」は上下の歯をかみ合わせた時に、下の歯が上の歯よりも前方に突出している噛み合わせのことをいい、「受け口」や「しゃくれ」とも呼ばれます。
反対咬合になる原因は、上顎が十分に成長できなかったり、下顎が上顎よりも大きく成長しすぎてしまった、前歯が前方に突出している、上の歯が後ろに傾斜しているなどがあります。
見た目の問題はもちろん、顎の関節に負担がかかって食事や会話がしにくかったり、前歯のかみ合わせが悪いため、虫歯や歯周病の発生リスクなどの問題が起こります。
子供の頃から矯正治療を始めることで、これから起こり得る症状に対して、早めに対処することができます。
交叉咬合(こうさこうごう)
「交叉咬合(こうさごうごう)」は上下の歯がどこかで交叉している状態で、咬み合わせが正常な場合と逆になっており、きちんと食べ物を噛むことができないかみ合わせのことです。
交叉咬合は「クロスバイト」「すれ違い咬合」とも呼ばれ、上顎が小さい、もしくは下顎の形が変形していることが原因で起こります。
顔の歪みや顎関節症になるリスクがありますので、子供のうちから矯正を始めることが推奨されます。
開咬(かいこう)
「開咬(かいこう)」とは、歯を噛み合わせたときに、上下の前歯がしっかりと噛み合わない状態のことをいい、「オープンバイト」ともいいます。
奥歯を噛んでも、上下の前歯に隙間が開いてしまい、言葉を発した時に空気が漏れるため、発音の問題や顎関節症の発症リスクがあります。
幼少期の指しゃぶりや舌癖、口呼吸などが原因と考えられますが、小児矯正をすることで、前歯で食べ物を上手く噛み切れるようになり、発音の問題、顎関節症のリスクも抑えられます。
乱ぐい歯
「乱ぐい歯」は歯並びがボコボコした状態のことをいい、「叢生(そうせい)」ともいいます。
遺伝的な要因や指しゃぶりの癖、歯の大きさに対して顎が小さい、といった原因で起こりますが、ブラッシングがしにくいため、放置すると虫歯や歯周病になりやすいので要注意です。
小児矯正を受けることで、歯がガタガタになる要素を取り除き、悪い癖を改善することができますので、早期に治療を検討すると良いでしょう。
子供の歯並び相談は歯科医院に相談しましょう
まだ乳歯が残っていて、永久歯が生え揃っていない時期でも、不正咬合の症状が見られる場合は、早めに歯科医院に歯並び相談をされることをおすすめします。
子供の成長期にしかできない治療法は早めに開始したほうが有利になりますので、気になる方は、まずは一度、歯科医院に相談してみましょう。
小児矯正は長期間取り組むことになりますので、お子様がリラックスできて、通いやすい歯科医院を選ぶことも大切です。
まとめ
小児矯正のご相談は当ホームページから、小児歯科・矯正歯科専門「ABC Dental」までどうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。
大田区田園調布にある小児矯正・予防歯科の歯科医院です。
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