Table of Contents
歯科医師監修イラスト解説
専門家による詳細ガイド
子供が5~6歳になっても滑舌が良くない、話しにくそう…。子供の不明瞭な発音と歯並びが悪い不正咬合の関係について、小児歯科医が解説していきます。
みなさん、こんにちは!
東京都大田区田園調布にある「ABC Dental 子ども専門 小児歯科 矯正歯科」の院長です。
子供が話している時に「喋りにくそうだなぁ…」「滑舌が悪いなぁ…」「言葉がはっきり聞き取れないなぁ…」と感じたことはありませんか?
幼児期にすべての音をハッキリと発音できるわけではありませんが、年齢と共に発音の成長も発達し、個人差はありますが、大体5~6歳ぐらいになると発音が完成します。
子供が5~6歳になっても滑舌が良くない、話しにくそう、特に「サシスセソ」と「タチツテト」がうまく発音できない場合は、歯並びと噛み合わせに問題があるかもしれません。
そこで今回は、子供の不明瞭な発音と歯並びが悪い不正咬合の関係について、小児歯科医が解説していきますので、気になる方は最後までご一読いただければと思います。
▽先読み!この記事で分かること
- 不正咬合は発音・滑舌に悪影響を与える
- 大体5歳から6歳ぐらいに発音が完成する
- 口周辺の筋肉を強化するトレーニング
- 歯科医院に歯並びの相談をしましょう
ご質問:子供の滑舌が悪いのは歯並びと関係があるの?
ご質問をいただきました。
ご質問者様:7歳の息子さんのお母様
7歳の息子の発音について相談です。
息子と会話をしている時に、いつも話しにくそうなのが気になっています。滑舌が悪いので聞き取りにくく、特に「さしすせそ」と「たちつてと」の発音が言いにくいようです。
先日、小学校で歯科検診があり、受け口の症状があると分かりました。下顎が前に出ているので滑舌が悪いのかな?と思いましたが、歯並びと発音は関係がありますか?
歯並びが原因の場合、矯正治療をした方が良いでしょうか?ご回答お待ちしております。
回答:不正咬合は発音・滑舌に悪影響を与えます
質問に回答します。
お子様の発音が不明瞭で聞き取りにくい、というお悩みですね。
結論から申し上げると、受け口の症状がある場合、歯並びと噛み合わせに問題があるため、発音がしにくい可能性が高いです。
「受け口」とは、下の前歯のほうが上の前歯よりも前に出ている状態のことをいい、「反対咬合」・「下顎前突(かがくぜんとつ)」とも呼ばれます。いわゆる「しゃくれ」の歯列です。
受け口になる原因は、上の顎が小さい、もしくは下の顎が大きいために起こり、噛み合わせに問題があるため、前歯で上手く食べ物を噛むことが難しく、発音にも悪影響を及ぼします。
ご指摘の通り、歯と歯の間で息を飛ばす「サ行」と舌先を上顎の裏にくっ付けてから離す破裂音「タ行」の発音が不明瞭になることが多く、舌っ足らずの印象を受けることもあります。
正しい歯並びは上の前歯が下の前歯より出ている状態ですが、受け口の場合は逆になっているので発音しにくく、滑舌が悪くなることがあるのです。
気になる場合は、一度、歯科医院で歯並びの状態を診てもらい、精密検査で受け口になった原因を明らかにした上で、適切な治療を検討されると良いでしょう。
歯並びの不正咬合が原因である場合、顎が成長段階にある早めの時期に矯正治療を開始されると、歯並びと噛み合わせの改善、そして発音の問題も解消することができます。
ただし、骨格的な問題があり、下顎が成長しすぎている場合、もしくは上顎と下顎の骨の関係が大きくずれている場合は、外科的矯正治療が必要になる可能性があります。
一度、矯正を専門とする歯科医師に相談してみてください。
子供の歯並びと発音の関係
子供の歯並びと発音・滑舌は関係があり、歯並びが悪く、噛み合わせに問題がある「不正咬合」の症状がある場合、発音がハッキリしない、滑舌が悪いといった問題が起こりえます。
もちろん幼児期に全ての発音ができるようになるわけではなく、成長とともに少しずつ発音できる音が増えてきて、個人差はありますが、大体5歳から6歳ぐらいに発音が完成します。
▽2〜3歳頃
- 母音(ア・イ・ウ・エ・オ)
- タ行(タ・チ・ツ・テ・ト)
- パ行(パ・ピ・プ・ペ・ポ)
- マ行(マ・ミ・ム・メ・モ)
▽3〜4歳頃
- カ行(カ・キ・ク・ケ・コ)
- ガ行(ガ・ギ・グ・ゲ・ゴ)
- ダ行(ダ・ジ・ヅ・デ・ド)
▽5〜6歳頃
- サ行(サ・シ・ス・セ・ソ)
- ザ行(ザ・ジ・ズ・ゼ・ゾ)
- ラ行(ラ・リ・ル・レ・ロ)
きちんとした発音は前歯の位置、舌の動き、唇の形が協調したときに発せられますが、不正咬合の症状があると、舌をしっかり動かせずに空気が漏れて、上手く発音できなくなります。
そのため、全体的に舌っ足らずな印象を受けたり、滑舌が悪いイメージになってしまうかもしれません。
子供の発音が悪くなる3つの原因
子供の発音が悪くなる、音が不明瞭になる3つの原因について見ていきましょう。
①歯並びに問題がある
以下のような歯並びの場合、発音に悪影響を与えることがあります。
- 受け口(反対咬合・下顎前突(かがくぜんとつ))
- 出っ歯(上顎前突(じょうがくぜんとつ))
- すきっ歯(空隙歯列)
- 開咬(オープンバイト)
噛み合わせに隙間ができて、歯と歯の隙間から息が漏れてしまい、歯と歯の間で息を飛ばす「サ行」、舌先を上顎の裏にくっ付けてから離す破裂音「タ行」の発音が難しくなります。
例えば、受け口の場合は下の前歯が出ているため「サ行」を出すのが難しく、出っ歯の場合は上の前歯が出ているため唇が閉じられず、 「パピプペポ」の発音が上手くできません。
開咬の場合は上下の歯が離れた状態であるため、サ行が発音しにくく、歯と歯の間に舌を差し込んで発音しようとするので歯並びがさらに悪化してしまうので注意が必要です。
②低位舌(舌の筋力不足)
正しい舌の位置は軽く口を閉じた時に、上の顎に舌がピタリとくっ付いている状態ですが、舌の筋力不足が原因で舌の位置が通常よりも下がっている「低位舌」になることがあります。
現代の子供たちは食生活の変化によって硬いものを噛む機会が減り、「低位舌」になっている状態が多くみられます。舌の筋肉が十分に発達しないために正しく舌の使い方ができず、発音が上手くできないことがあるのです。
舌が上顎に全くついていない場合、舌の筋力不足による「低位舌」となりますので、発音が悪くなったり、お口がポカンと開いて口呼吸になりやすいので、早めの改善が必要です。
③形に問題がある
生まれた時から唇や舌の形・大きさに異常が見られる場合、発音の時に使う唇や舌の形の問題があるために適切に発音できない「器官性構音障害」という症状の可能性があります。
唇の閉鎖が上手くいかずに空気が鼻へ漏れてしまう「鼻咽腔閉鎖不全(びいんくうへいさふぜん)」、舌が小さい「小舌症」、上顎の天井部分が開いている「唇顎口蓋裂」などの症状があります。
また、神経や筋肉に問題があり、発音の時に使う舌や唇に麻痺や障害が起きて、適切に発音ができない「運動障害性構音障害(麻痺性構音障害)」と呼ばれる症状もあります。
子供の発音が悪いのは自然に治る?
子供の発音がしにくい、滑舌が悪い原因は、歯並びと咬み合わせに問題があり、低位舌(舌の筋力不足)になっているケースが多くみられます。
歯並びは一度悪くなると自然に改善されることはほとんどなく、日常の癖や習慣によって歯列がさらに乱れる可能性があります。
唇や舌の周にある筋肉を鍛えるために、毎日の食事でよく噛むことを意識して、噛む回数を増やし、唇で吸ったり、舌で舐めるといった動作をして口周辺の筋肉を強化しましょう。
こういったお口のトレーニングで口周りの筋肉は自然と鍛えられますが、歯並びと噛み合わせを改善するには専門的指導を受けて、歯科矯正治療が必要になります。
子供の不正咬合を放置するリスク
子供の不正咬合をそのまま放置すると、見た目だけの問題だけでなく、様々な機能面でのデメリットがあります。
- 発音がしにくい、舌っ足らずな印象を与える
- 噛むこと、前歯で噛み切ること、奥歯で噛み砕くことが難しくなる
- むし歯・歯周病になりやすくなる
- 消化不良が起こりやすい
- 肩や背中の筋肉の緊張による不調が起こる
- 顎関節症を引き起こすリスク
- 歯並びの悪さが見た目のコンプレックスに繋がる
歯並びが悪いことはこのような日々の食事や会話、お口の健康、そして首・肩・腰など全身のバランスにも悪影響を与えるので、不正咬合の症状は早めの対処が必要とされています。
子供の不正咬合の治療法
5歳から6歳になっても発音が難しく、不正咬合の症状が見られる場合は、学習や日常のコミュニケーションに支障をきたす可能性があるので矯正治療を検討するとよいでしょう。
マウスピース矯正
乳歯から永久歯へ生え変わる時期にはマウスピースの矯正装置を使って、顎の成長を利用しながら噛み合わせを正しく改善し、歯の位置を正しく整えることができます。
小児矯正は、顎の骨は成長段階にあるため軟らかく、痛みや違和感は少なく、顎の成長・発達を正しい方向へコントロールしながら治療をすることができるのがメリットです。
噛み合わせと歯並びが改善されると、舌が動きやすくなって、唇も自然と閉じやすくなるので発音がしにくい問題も解消されるでしょう。
当院では、マウスピース矯正と口周りや舌の筋肉トレーニングを同時に行い、根本的な原因にアプローチする治療を行っており、発音・発音がしやすく改善する効果が期待できます。
子供のマウスピース矯正は、装着時間は毎日20時間以上、治療期間は個人差がありますが、1年半~2年程度が目安になります。
口腔筋機能療法(MFT)
発音がしにくい場合、舌の位置が下がっていたり、口腔周囲筋や唇の閉鎖力が弱いため、お口周りの筋肉の機能を強化するトレーニング「口腔筋機能療法(MFT)」を行います。
「口腔筋機能療法(MFT)」は発音・咀嚼・嚥下・呼吸など、小児期における口腔機能の正常な発達を促すために、矯正治療の装置と併用して行います。
お口周りの筋肉の適切な働きを促進し、適切な発音を行ったり、飲み込んだりできるように訓練したり、正常な舌の位置を覚えて、口呼吸から自然と鼻呼吸に改善していきます。
口の周りの筋肉のバランスが調和されるので、噛み合わせや歯並びが整えられて、お顔つきも洗練された印象になる効果が期待できます。
子供の歯並びのご相談は「ABC Dental」へお気軽にどうぞ
当院では単に歯並びを整えるだけではなく、日常の舌の癖や食べ方、呼吸法などに問題がないか確認し、歯並びに悪い影響を与える癖や習慣を取り除く治療に力を入れております。
現代の子供の約70%は不正咬合の症状があると言われており、顎の使い方にも問題が出てきますので顎の成長にも支障をきたし、歯列の乱れが生じることになります。
永久歯の生え変わり時期に矯正治療を始めることで、顎の成長を正しくコントロールしながら矯正治療を進めることができ、発音や滑舌の悪さも自然と改善される効果が期待できます。
小児矯正にご興味があれば、治療期間、気になる痛み、費用について、矯正歯科医が歯並びや矯正治療について分かりやすくご説明しますのでぜひ一度ご相談ください。
まとめ
子供の発音がしにくい、舌っ足らずなど問題は、歯並びが悪く、噛み合わせに問題がある不正咬合が原因である可能性が高いです。
小児矯正は子供の発音の問題を解決する結果に繋がりますので、気になる方は、専門の歯科医師に相談してみてください。
東雪谷、南雪谷、雪谷大塚町、上池台、久が原、南馬込、北馬込、西馬込、東馬込、仲池上、北嶺町、東嶺町、西嶺町、池上、下丸子などのエリアからも通いやすい小児歯科医院です。