マウスピース矯正は様々な症例に幅広く適応されていますが、一部の症例には適応されず、マウスピース矯正ができないケースもありますので注意が必要です。
みなさん、こんにちは!
東京都大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門の歯科医院「ABC Dental」の院長です。
近年、子供の矯正治療は「マウスピース矯正」が主流になっており、普段通りに学校生活を送ることができる上に、ストレスを最小限に抑えて続けやすいメリットがあります。
マウスピース矯正は様々な症例に幅広く適応されていますが、一部の症例には適応されず、マウスピース矯正ができないケースもありますので注意が必要です。
本記事では、小児矯正におけるマウスピース治療が適応されない症例&解決策について小児歯科医が解説しますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
▽先読み!この記事で分かること
- 骨格的に問題がある場合は適応されない
- 抜歯が必要な重度のケースも適応外となる可能性
- 骨格的な問題は外科手術が必要
- まずは歯科医院の検査を受けましょう
Table of Contents
ご質問:小児矯正でマウスピース矯正が適応されないこともある?
ご質問をいただきました。
ご質問者様:7歳の娘さんのお母様
小児矯正のマウスピース治療について質問です。
娘の歯は永久歯に生え変わりが始まりましたが、大きな八重歯があって、歯列は上下の前歯がガタガタしている叢生(そうせい)という症状があります。
将来、きれいな歯並びになるために今から小児矯正を検討していますが、
できればワイヤー矯正ではなくマウスピース矯正がよいと思っています。
マウスピース矯正の場合、ガタガタの歯を治すことは可能ですか?
重度の叢生と診断された場合、マウスピース矯正が適応されないこともあるでしょうか?
ご返信お待ちしています。
回答:適応されない症例もあります
質問に回答します。
マウスピース矯正の症例は幅広く対応していますが、全ての歯並びを治療できるわけではなく、適用が難しいケース、適応できないケースもあります。
実際にマウスピース矯正が適応されるか・されないかの判断は歯科医院で検査を受けた上で医師の診断が必要です。
骨格的な問題によって歯並びが悪くなっている場合、重度の叢生の場合は、マウスピース矯正では改善が見込めないため、外科手術を伴う矯正治療が必要になる可能性があります。
その他にも、虫歯や歯周病(多くの場合は歯肉炎)があるお子様の場合、まずは虫歯と歯周病の治療を優先させて、治療が終わった後にマウスピース矯正を開始する流れとなります。
お子様の叢生を改善するためにマウスピース矯正が適応されるかどうかは、歯科医院の精密検査を受けていただき、適切な治療法について説明を受けることをおすすめします。
小児矯正でマウスピース矯正が適応されない症例
一般的に以下の症例では適応されない可能性があります。
▽小児矯正におけるマウスピース矯正が適応されない症例
- 顎の骨格に問題がある
- 骨格的な上顎前突(出っ歯)
- 骨格的な下顎前突症(受け口・反対咬合)
- 重度の叢生(乱杭歯)
- 外科手術が必要な場合(不適合顎変形症など)
例えば、上顎前突(出っ歯)の場合、骨格的に問題がなく、歯列だけが前に出ているだけであればマウスピース矯正の適応範囲となります。
しかし、上顎の骨が大きい、もしくは下顎の骨が小さいために上顎全体が前に突き出ている場合は、骨格的な問題があるためマウスピース矯正だけでは難しく、外科手術が必要です。
下顎前突(受け口)の場合も同様に、骨格的な問題はなく、歯だけが前に突き出ている状態であれば、マウスピース矯正の適応範囲になります。
受け口の原因が下顎の骨が大きい、もしくは上顎の骨が小さいために下顎全体が前に突き出ている場合は、骨格的な問題があるため、外科的な手術が必要です。
その他にも、叢生(そうせい)は歯と歯が重なり合って生えてくる不正咬合のことをいいますが、軽度の場合はマウスピース矯正の適応範囲となります。
しかし、歯の重なりがある状態が重度の症例において、歯を大きく動かす必要のあると判断された場合、マウスピース矯正が適応されない可能性があります。
小児矯正でマウスピース矯正が適応されない症例の解決策
マウスピース矯正を希望していたけれど検査の結果、適応外となったという方は、以下の矯正方法が選択肢に入ります。
ワイヤー矯正
マウスピース矯正では難しい症例であっても、従来のワイヤー矯正ならば治療ができる可能性があります。
ワイヤー矯正とは、ブラケットと呼ばれる器具を歯に装着してワイヤーを通し、歯に適切な力を加えながら徐々に歯を移動させることで歯並びを整える矯正法です。
例えば、大幅な歯の移動が必要な症例や抜歯が必要な場合に適しています。治療期間は非抜歯の場合は1年半〜2年、抜歯が必要な場合は2年〜2年半が目安となります。
外科矯正(外科手術)を行う
骨格的な問題によって歯列が乱れている場合は、外科矯正(外科手術)を行うことで治療を開始することが可能です。
※症例によっては入院が必要になります。
外科矯正では歯並びが悪くなっている根本的な原因である骨格から治療をすることが可能になるため、理想的なお口元、顔つきになります。
※顎変形症であると診断された場合、外科矯正に公的医療保険が適用されます。
▽矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは?
虫歯・歯周病の治療を済ませておく
子供に虫歯や歯周病(多くの場合は歯肉炎)があるためマウスピース矯正ができないと診断された場合は、まず初めに虫歯や歯周病の治療を終わらせましょう。
虫歯・歯周病の治療が終われば、マウスピース矯正を開始することが可能です。
※重度の歯周病があり、歯槽骨の状態によってはマウスピース矯正は適応されない可能性があります。
マウスピース矯正をしている間に虫歯ができてしまった場合、矯正治療が中断となるため、矯正中はブラッシングと口腔ケアを徹底しておきましょう。
小児矯正のマウスピース矯正の目的
一般的に大人のマウスピース矯正では、永久歯が生え揃った段階でマウスピースを装着し、少しずつ歯を動かしていき、歯並びと噛み合わせを改善していきます。
一方で、小児矯正は「一期治療」と「二期治療」の2段階に分かれており、永久歯がきれいに生えるために顎の成長・発育を適切な方向へ促し、歯並びの土台作りをすることが目的です。
▽「一期治療」
- 正常な顎の発育を促す
- 永久歯が正しい位置に生えるための土台を作る
▽「二期治療」
- 歯を細かく移動させる
- 噛み合わせを整えながら歯並びを整える
一期治療が完了後、噛み合わせと歯並びに問題がなければ治療完了となり経過観察になりますが、何か異常がある場合は、二期治療の検討が必要です。
子供のマウスピース矯正の治療期間は患者様の年齢や成長過程によって個人差がありますが、約1年~2年が目安となります。
小児矯正は子供の体が成長している段階に行うため、成長を上手く活用して自然にきれいな歯並びになるようにコントロールできる点が大きなメリットです。
骨格のズレをマウスピースを使って正しい方向へ整えていき、正しい噛み合わせと歯並びに整えることが可能です。
一般的に(インビザラインを使った)子供のマウスピース矯正は6~7歳くらいから開始できる場合が多いです。
また当院では(マイオブレイスを使った)3歳からのマウスピース矯正によって正しい噛み合わせと歯並びに改善された症例もございますので、年齢に合わせたマウスピース矯正をご提案することも可能です。
小児矯正のマウスピース矯正の種類
一般的なワイヤー矯正と呼ばれる治療法はワイヤーの力を利用して、実際に歯を動かして歯並びを整える方法です。
一方で、マウスピース矯正は永久歯が生え揃う前に歯並びに悪影響を及ぼす癖を治して、顎に十分なスペースを確保する矯正になります。
小児矯正のマウスピース矯正は成長を利用しながら、根本的な原因にアプローチすることができ、子供だからこそ実現できる矯正法です。
マイオブレース
当院では、子供の不正咬合(上下の噛み合わせに異常がある)を早期に治療して、自然に正しい歯並びになるように誘導する「マイオブレースシステム」を取り入れています。
▽「マイオブレースシステム」の特徴
- マウスピース型の装置を利用する
- 取り外し可能
- 痛みや違和感がほとんどない
- 抜歯は不要
- 装着時間は昼間の1時間と就寝時のみ
- 毎日お口のトレーニング(アクティビティ)を併用する
- 正しい舌・嚥下(飲み込み)の使い方を覚える
- 治療後の保定装置(リテーナー)不要
- 後戻りが少ない
適応年齢:3歳~9歳
マイオブレースは口腔習癖を改善することを重視しており、根本的な原因にアプローチしながら顎の発達を適切に促して自然でキレイな歯並びを目指すことができます。
インビザライン・ファースト
「インビザライン・ファースト」は永久歯がきれいに生え揃うように顎の骨を広げて、十分なスペースを確保するようにデザインされた子供用マウスピース矯正装置です。
▽「インビザライン・ファースト」の特徴
- オーダーメイドのマウスピース
- 透明で目立たない
- 取り外し可能
- 1日20時間以上の装着
- 食事と歯みがきの時以外は装着する
- 1~2週間ごとに交換する
- 食べ物の制限なし
- 混合歯列期(生え変わり時期)に適応
- スポーツ、楽器演奏時も安心
適応年齢:6歳〜10歳
「インビザライン・ファースト」は歯列の拡大(顎の大きさを広げる)と同時に歯を動かして永久歯をきれいに並べる配置を同時に行うことができる優れた治療法です。
子供の歯並び相談は「ABC Dental」へお気軽にどうぞ
当院ではマウスピース矯正における歯型取りの際に、最新の口腔内スキャナー「iTero(アイテロ)」を導入しています。
アイテロを使うことで従来のようにお子様に不快な気持ちをさせずに、素早くお口の中を瞬時に撮影することが可能です。
その場でモニターに歯列が表示され、現在の歯並びの問題点を把握することができるだけでなく、マウスピース矯正治療後の歯並びをシミュレーションすることも可能です。
お子様の歯並びが気になる方は、ぜひお子様と一緒に大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門「ABC Dental」の無料カウンセリングをご利用くださいませ。
まとめ
今回は、小児矯正でマウスピース矯正が適応されない症例&解決策について解説していきました。噛み合わせや歯並びが気になる方は歯科医院にご相談されることをおすすめします。
「ABC Dental 子ども専門 小児歯科 矯正歯科」では、自由が丘、武蔵小杉、新丸子、多摩川、東雪谷、南雪谷、雪谷大塚町、上池台、久が原、南馬込、北馬込、西馬込、東馬込、仲池上、北嶺町、東嶺町、西嶺町、池上、下丸子などのエリアからも通いやすい小児歯科専門医院です。