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子どもの歯に見られる症状「癒合歯(ゆごうし)」はどんなものか、リスクや治療の必要性について小児歯科医が分かりやすく解説していきます
みなさん、こんにちは!
東京都大田区田園調布にある「ABC Dental 子ども専門 小児歯科 矯正歯科」の院長です。
子供が市区町村の検診、保育園、幼稚園、小学校などの歯科検診を受けた際に、診断結果に「癒合歯(ゆごうし)」と書かれてあることがあります。
「癒合歯(ゆごうし)」とは聞きなれない言葉ですから、「これってなんだろう?」とどうすればよいか分からない保護者様もいらっしゃると思います。
今回は、子どもの歯に見られる症状「癒合歯(ゆごうし)」はどんなものか、リスクや治療の必要性について小児歯科医が分かりやすく解説していきますので、参考にしてみてください。
▽先読み!この記事で分かること
- 隣り合う二つの歯が結合する症状のこと
- 永久歯の生え変わりや歯並びに悪影響を及ぼす
- 虫歯の発症リスクを高める
- 癒合歯の治療は虫歯予防がほとんど
- 歯の生え変わり時期に歯科医院の診断を受けましょう
ご質問:歯科検診で癒合歯(ゆごうし)と診断されたら?
ご質問をいただきました。
ご質問者様:5歳の娘さんのお母様
5歳の娘が区の保健所で歯科検診を受けた際に、「癒合歯(ゆごうし)」と指摘されました。
歯の生え変わり時期に色々と影響する可能性があるので、歯科医院で検査を受けた方がいいと言われました。
「癒合歯(ゆごうし)」とはどういった症状でどんなリスクがありますか?保護者が取るべき対処法について教えてください。よろしくお願いします。
回答:虫歯・歯肉炎のリスク、歯並びへの影響があります。歯科医院で検査を受けましょう
質問に回答します。
「癒合歯(ゆごうし)」とは、隣り合っている2本の歯が形成される時期に結合して、1本になった症状のことをいいます。
癒合歯があると、癒合している部分の深い溝(へこみ部分)に歯垢(プラーク)や汚れが溜まりやすいため、虫歯・歯肉炎になるリスクが高まります。
癒合歯になったことで特別な治療を受ける必要はありませんが、歯の生え変わり時期には、永久歯の歯並びが乱れる可能性がありますので注意が必要です。
癒合歯になっている乳歯の下から永久歯が生える際に、歯根(歯の根の部分)が正常に吸収されず、歯の生え変わり時期に歯が抜けない場合は抜歯が必要になるでしょう。
まずは早めに歯科医院に相談し、歯並びのチェックを受けること、そして定期的に歯科医院で虫歯予防や歯並びについて経過を観察してもらうことが大切です。
癒合歯(ゆごうし)とは?
「癒合歯(ゆごうし)」とは隣り合った2本以上の歯が結合しくっついて1本の歯のように生えてくる症状のことです。
歯は顎の骨の中で育ち、その成長過程において「乳歯」が1本ずつ表に現れてくるはずですが、隣り合った歯が上手く分離されず、そのままくっ付いた状態で生えてくる現象です。
乳歯と永久歯のどちらにも現れる症状ですが、厚生労働省の「歯科疾患の現状(令和3年)」のデータによれば、くっついた歯になる割合は、乳歯は1~5%、永久歯は0.2~0.3%と報告されており、乳歯の方が多くなっています。
子供の乳歯の場合、下顎の乳側切歯と乳犬歯、下顎の乳中切歯と乳側切歯、上顎の乳側切歯と乳中切歯などが結合するケースが多くみられます。
▽「癒合歯」は大きく分けて以下の2種類があります。
- 「癒着歯(ゆちゃくし)」…表面だけがくっついている
- 「癒合歯(ゆごうし)」…内部までくっついている
最近はどちらもまとめて「癒合歯」と呼ばれています。近年は、市町村や学校の歯科検診で診断される方も増えているようです。
2本の歯が完全に繋がっていて大きな歯に見える場合もあれば、一見、2本に見えるけれどもレントゲン撮影によって中にある神経がくっ付いていると分かる場合もあります。
子供に癒合歯(ゆごうし)が生えてくる原因は?
癒合歯(ゆごうし)が生えてくる明確な原因は分かっていませんが、後天的なものではなく、先天的なもの(生まれつきのもの)であるため、遺伝的要因が大きいと考えられています。
ご家族の中でくっついた歯がある場合は遺伝する可能性があり、また妊娠中の母親の栄養状態、疾患、薬剤との関連、出生時の体重などの環境的要因が複合的に影響して発症することがあります。
癒合歯(ゆごうし)は確かに異常な症状ではありますが、顎の骨の中で成長過程における現象の結果として現れるものですから、ご両親に責任はありませんのでご安心ください。
子供にくっついた歯があること自体に問題はなく、日常の食事や会話に特に支障はありません。
ただし、2本の歯が結合した部分にくぼみができて、そこに歯垢(クラーク)や汚れが溜まると虫歯・歯肉炎になるリスクが高まり、歯並びへの影響も考えられます。
歯の生え変わり時期は永久歯に影響を及ぼすことがあるので、早めに歯科医院で歯並びの状態を診てもらうとよいでしょう。
こんな癒合歯の場合は要注意!
乳歯同士がくっついている歯があるからといって、永久歯もくっついて生えてくるとは限りませんが、永久歯の大きさや数に異変が見られることがあります。
乳歯が2本繋がっていれば、その真下には永久歯が2本あるはずですが、1本しかないことがあります。その場合は、歯並びや噛み合わせに影響を及ぼす可能性が高いです。
歯の数と顎の大きさのバランスにズレが生じて、永久歯の歯並びが「すきっ歯」になったり、重なったり曲がったりして生えてきて、歯並びが乱れることがあります。
将来的な口腔内の問題を考慮して、場合によっては矯正治療を検討する必要もありますので、お早めに歯科医院に相談し、診査診断してもらうことが大切です。
子供に癒合歯があると起こりえる3つのリスク
以下の3つのリスクが起こりえます。
①虫歯・歯肉炎になりやすい
2本の歯が結合していると境目に溝ができるので、その隙間に歯垢(プラーク)や汚れが溜りやすく、虫歯・歯肉炎になりやすいです。
デンタルフロスをしても汚れが取り除けない場合は、歯科医院ではシーラントやレジン充填などのプラスチックの材料を詰めて、溝を埋める治療を行うことがあります。
②歯の生え変わりがスムーズにいかない可能性がある
歯の生え変わり時期は、本来は下から永久歯が押し上げられて、乳歯の歯根が吸収されると、グラグラと乳歯が揺れ始めて自然と抜け落ち、下から永久歯が生えてきます。
2本の歯がくっついているので永久歯の生え変わり時期に上手く歯根に吸収されず、なかなか抜けないことがあり、必要に応じて抜歯することもあります。
③歯並び・噛み合わせが悪くなる可能性がある
大きさは2本分ではなく、1.5本分くらいのサイズになることが多く、スペースが圧迫されるため、永久歯が上手く並ばず、歯並びや噛み合わせが悪くなる可能性があります。
表面の形が複雑な場合は、矯正器具を適切な位置につけることが難しくなり、矯正治療の難易度も上がります。
子供に癒合歯が生えてきた時の対処法
子供の日常生活に問題がない場合、削ったり、抜歯したりする処置は必要ありません。
問題となりうるのは、乳歯が結合している部分は溝状に凹んでいるために虫歯や歯肉炎になりやすいことです。
それに対する歯科医院での治療は、虫歯を予防するためにシーラントやフッ素の塗布による歯質強化を行うと有効です。
いびつな形をしていて、強度の弱い箇所がある場合は、歯科用プラスチックで補強した方が良い場合もあります。
永久歯が足りない場合は、歯並びと噛み合わせに問題がある可能性もあり、矯正治療も考慮した方がよいこともありますので、歯科医に相談してみてください。
また、下の前歯に発生することが多いので、保護者様は丁寧な仕上げ磨きの実施、定期的な歯科検診を受けるなどして、経過観察で子どもの歯の成長を見守っていきましょう。
歯の生え変わりの時期は歯科検診を受けましょう
永久歯の欠損やくっついた乳歯は見た目では分からないことも多いため、前歯が永久歯に生え変わる6歳頃になったら、一度、歯科医院でレントゲンを撮影してもらうことをおすすめします。
歯科医院の「レントゲン検査」では画像診断によって将来的な歯並びを予測して、医師から直接説明を受けることができます。
乳歯同士がくっついている歯がある場合、永久歯の生え変わり時期になっても、歯が抜けるのが遅くなる傾向がありますので、永久歯の発育状態によっては、抜歯が必要なケースもあります。
子供の歯科検診・歯並びのご相談は「ABC Dental」へお気軽にどうぞ
子供の歯並びが悪い状態を放置していると、虫歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、発音や食事がしにくい他、お口元の見た目にも影響を与える可能性があります。
大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門「ABC Dental」では、お子様の年齢や歯並びの状態に合わせて、最適な治療方法をご提案いたします。
お子様が楽しく矯正治療を受けられるよう、フレンドリーなスタッフが丁寧なカウンセリングとサポート体制を整えております。
お子様の歯並びについて、お悩みの方は、お子様と一緒に大田区田園調布にある「ABC Dental 子ども専門 小児歯科 矯正歯科]」の無料カウンセリングをご利用ください。
「ABC Dental 子ども専門 小児歯科 矯正歯科]」は、自由が丘、武蔵小杉、東雪谷、南雪谷、雪谷大塚町、上池台、久が原、南馬込、北馬込、西馬込、東馬込、仲池上、北嶺町、東嶺町、西嶺町、池上、下丸子などのエリアからも通いやすい小児歯科医院です。