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歯科医師監修イラスト解説
専門家による詳細ガイド
「歯を抜かずに 拡大床 と呼ばれる矯正装置を使って、アゴのスペースを拡げながら歯並びを整えていく 床矯正(しょうきょうせい) という治療法。顔が大きくなってしまわないか…?、顔つきが変わってしまう?小児歯科医がわかりやすく解説いたします」
みなさん、こんにちは!
東京都大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門の歯科医院「ABC Dental」の院長です。
「ABC Dental」では、「拡大床」と呼ばれる矯正装置を使って、歯を抜かずに、アゴのスペースを拡げながら歯並びを整えていく「床矯正(しょうきょうせい)」という治療を行っています。
「アゴを広げる」と聞くと、「顔が大きくなってしまわないか…?」「顔つきが変わってしまうのではないか…」と心配な親御様も多いようです。
実際に、拡大床を使っても顔が大きくなったり、顔つきが変わってしまうことはありませんので、安心して治療に取り組んでいただいて問題ありません。
この記事では、拡大床を使って顔が大きくなる、顔が変わることがない理由について小児歯科医がわかりやすく解説いたしますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
▽先読み!この記事で分かること
・拡大床で顔が大きくならない理由
・拡大床で顔つき・顔貌が変わらない理由
・拡大床で出っ歯になることはない
・歯と歯の間に隙間ができても問題なし
床矯正に使用する「拡大床」とは?
歯がきれいに並ぶためのスペースが十分でないときに、顎を頬側に拡大するために「拡大床(かくだいしょう)」という拡大装置を使用します。顎を広げる矯正を「床矯正」といいます。
拡大床を使用した「床矯正」では、顎の骨全体をゆっくりと横に押し広げていきますので、成長期のお子様は歯を抜かずに矯正をすることが可能です。
ご質問:拡大床で顔が大きくなる?
ご質問をいただきました。
ご質問者様:5歳の娘さんのお母様
5歳の娘が「拡大床」という顎を成長させる装置を使用する小児矯正をしています。
徐々に治療効果を実感しており、順調に顎も広がってきて、歯と歯の間に適切な隙間(永久歯が生えるためのスペース)が出来てきました。
しかし、最近心配なことがあって、それは拡大床という装置を使用して、このまま顎が広がり続けたら、顔が大きくなってしまうのでは?と少し不安です。
歯並びが良くなっても、将来顔が大きくなるのは困るので、早めに悩みを解決したいです。アドバイスをいただけると助かります。
回答:顔が大きくなることはありません
ご質問ありがとうございます。
結論から申し上げますと、拡大床を使った「床矯正」による治療によって顔が大きくなることはありません。
顔の大きさに影響するのは、ほっぺたよりも少し上にある「頬骨」にあり、この頬骨によって顔全体が大きく見えたり、小さく見えたりします。
床矯正では、拡大床を使って「歯槽骨(しそうこつ)」という歯を支えている骨に影響を与えて歯列を広げていきますので、広げる場所が異なります。
よって、拡大床を使ってお口の中の歯列を広げたとしても、顔が大きくなったり、顔全体である顔つき・顔貌に影響を与えることはありませんので、安心してください。
拡大床を使っても顔は大きくならない理由
小児矯正とは、決して歯だけを移動させる治療ではなく、上下の顎や骨、歯周組織、筋肉、神経などにも働きかけて正しい顎の成長を促すことで矯正治療が行われます。
お子様の永久歯が生え揃った頃に、歯がきちんと並ぶためのスペースが足りない場合、以下のような歯並びの悪さに繋がる可能性があります。
▽不正咬合
・叢生…歯のガタガタ・八重歯
・上顎前突…出っ歯
・反対咬合(下顎前突)…受け口
・開咬…噛むと上下の前歯が当たらない
・過蓋咬合…かみ合わせが深い
・空隙歯列(正中離開)…すきっ歯 など
不正咬合を予防するために、まだ永久歯が十分に生えていない子どものうちに拡大床を使って上顎や下顎を広げ、歯をキレイに並べるための土台を作っておけば、将来抜歯をせずに矯正治療を受けることが可能です。
拡大床を装着しても、歯を支えている歯槽骨(しそうこつ)の位置をゆっくりと移動させるだけですから、顔貌に影響するアゴ骨格自体が広がるわけではありません。そのため顔が大きくなったり大きく見えるということは基本起こり得ません。
拡大床を使っていると、歯と歯の間に隙間ができて、顎が拡がっているのを実感できますが、顔が大きくなっているわけではありませんので、心配しなくて大丈夫です。
逆に、床矯正によって本来の正しい顎の成長が促され、歯並びがきれいに並ぶスペースができますので、顔の歪みが改善されて、顔の表情が良くなり、洗練した印象になるメリットも期待できるでしょう。
拡大床で歯と歯に隙間ができたけど大丈夫?
拡大床を使うと、歯と歯の間に隙間ができて、見た目が「すきっ歯」の状態になって不安というお声もいただきますがこれも問題はありません。
永久歯の大きさは乳歯と比べると大きいので、乳歯の時点で歯と歯の間に隙間があるくらいがちょうどよい正常咬合といえます。というより乳歯の時に隙間がある歯列でないと、永久歯が生えてくるときにはスペース不足となってしまいます。当院の症例で上記の画像を見ていただくと、お分かりいただけるかと思いますが、このようなすきっ歯の状態が乳歯列としては理想的です。
乳歯の段階で凸凹があったり、きっちりと隙間なく並んでいる場合は、永久歯が生えてくるころに不正咬合(歯並びが悪くなる)可能性が高いので、小児矯正が必要となる可能性が高いです。その場合は歯科医院での歯並び検査をおすすめします。
拡大床を使って出っ歯になるリスクは?
「拡大床を使ったら、出っ歯になるのでは?」と心配される親御様もいらっしゃいます。
拡大床を装着すると、歯槽骨(しそうこつ)の位置が頬の方へ横に拡がっていきますので、前歯に影響することはなく、出っ歯になるリスクはありません。
基本的に顎の成長が改善され永久歯の生えるスペースが拡大床を使って確保されるので、出っ歯を改善する方向に歯列は動きます。
また、お顔の筋肉のバランスが左右に差があり、出っ歯(上顎前突)になっているお子様の場合でも、拡大床を装着することで顎の骨格の改善にも繋がり、出っ歯の状態は改善されます。
拡大床を使ったら顔つき・顔貌が変わるの?
近年の子供たちは、顎の骨が小さく、歯が大きい傾向にあり、顎の骨と歯の大きさがアンバランスであるために、歯並びが悪くなることが多いようです。
実際に当院が地域で行なっている歯科検診においても明らかに昔に比べて歯並びが悪いお子様が増えてきています。
拡大床を使用した床矯正では、子どもの顎の成長を利用しながら、歯が正しい位置に生える場所を拡げることができますので、審美的なメリットも期待できます。
将来的に自分の顔や表情に自信を持つことができるでしょう。
床矯正を成功させるために大切な3つのポイント
ここからは、床矯正(拡大床を使用した小児矯正治療)を成功させるために大切なポイントをみていきましょう。
①施術適齢期
「床矯正」の施術適齢期は、永久歯が生え変わる5歳から7歳ごろまでに治療を始めると良いと考えられます。乳歯と永久歯の混ざった混合歯列期に適した治療法です。
お子様の成長発育が本格的に進む前の小学校低学年までに治療を始めることで、成長を利用した矯正が可能になります。
小学校の高学年になると治療開始時期としては遅めになり治療効果も落ちてくるため、治療開始タイミングは非常に注意が必要です。
②本人のやる気
拡大床は自分で取り外し可能な装置ですから、食事中や歯磨きの時は取り外して、ストレスなく矯正を進めることができるのがメリットです。
ただし、装置をつけ忘れたり、装着時間が短すぎると、計画にズレが生じて結果に影響指定しまいますので、お子様本人のやる気も重要なポイントです。
基本的に痛み等は出にくく、万が一痛みがあったとしてもすぐに対処可能なので、大人になってからのワイヤー矯正に比べて負担の少ない治療方法です。
③信頼できる小児歯科を見つける
矯正治療は保険適用外で時間のかかる治療だからこそ、信頼できる歯科医院選びが大切です。
小児矯正は早いほどいいとよく言われますが、誰に対しても早ければ良いというわけではなく、お子様の歯の状態、顎の成長具合によってそれぞれ適切な治療タイミングは変わってきます。
歯医者選びは症例数が豊富で経験がある、痛み対策が万全、メリットとデメリット、注意点も分かりやすく説明してくれる小児歯科を選びましょう。
まとめ
子どものうちに矯正を始めることで、歯並びのコンプレックスを解消して、見た目が気になる年齢になっても笑顔に自信を持てるようになるでしょう。
拡大床によって顔が大きくなったり、顔つきが変わる心配はなく、自然で魅力的な笑顔になれるメリットも期待できるのです。
「ABC Dental」ではお子様の歯並び相談・カウセリング(初回無料)を行っておりますのでお悩みやご相談がある方は、当サイトからお気軽にご予約くださいませ。
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