「子供の反対咬合の症状はお子様一人ひとりによって症状の程度が異なり、特に骨格的な問題が原因の場合は重度の症例として、幼児から早期に治療を開始し改善することが推奨されます。」
みなさん、こんにちは!
東京都大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門の歯科医院「ABC Dental」の院長です。
お子様の下顎や下の歯列が前に飛び出している場合、「反対咬合(下顎前突症)」、いわゆる「受け口」と呼ばれる不正咬合の可能性があります。
子供の反対咬合の症状はお子様一人ひとりによって症状が異なりますが、特に骨格的な問題が原因の場合は重度の症例として、幼児から早期に治療を開始し改善することが推奨されます。
本記事では、子供の反対咬合(下顎前突症)は早期治療が大事となる重度の症状について解説していきます。
▽先読み!この記事で分かること
- 自然治癒は見込めない
- 3歳を過ぎると治療の対象
- 骨格的な問題は早期治療が大事
- 3歳~6歳頃に治療開始が推奨される
Table of Contents
ご質問:子供の受け口は自然に治りますか?
ご質問をいただきました。
ご質問者様:3歳の娘さんのお母様
子供の歯並びについて相談です。
3歳の娘は下の歯が出ている受け口です。公園でお友達とピクニックをした時に、お友達はパンを前歯でかじって顎がちゃんと動いていました、娘は食べ物をかじって噛むことが難しい感じでした。
受け口は見た目も気になるので治療を検討していますが、成長すれば自然と治る可能性はありますか?もし治らなければ、何歳くらいから治療を始めた方が良いですか?
ご回答お待ちしています。
回答:自然治癒は見込めないことが多いです
質問に回答します。
お子様の下の歯列が前に出ている場合、受け口の可能性が高く、正式には「反対咬合(下顎前突症)」と呼ばれる不正咬合の症状です。
通常、上下の歯をイーっと噛むと上の歯が下の歯を若干覆っている状態になりますが、それが反対になって下の歯が上の歯よりも前に出ているので「反対咬合」と呼ばれています。
子供が反対咬合になる原因は生まれつき骨格に問題があるケースと日常の口腔習癖(指しゃぶりや舌や唇を誤って使う癖)による後天的なケースの2パターンあります。
3歳を過ぎると受け口の症状が自然に治るケースはほとんどなく、体の成長と共に顎骨が誤った方向へ促されて余計に目立ってきますので、子供のうちから早期治療が推奨されます。
「反対咬合(下顎前突症)」の治療を開始する最適なタイミングはケースバイケースですが、一般的には歯が生え変わる6歳までに始めると顎の成長を活用した治療が可能です。
お子様に「反対咬合(下顎前突症)」の症状が考えられる場合は、歯科医院で歯並び検査を受けて、原因を見極めたうえで適切な矯正治療法を提案してもらうことをおすすめします。
子供の反対咬合(下顎前突症)とはどんな症状?
子供の「反対咬合」とは、上の前歯よりも下の前歯が前に出ている症状のことをいい、いわゆる「受け口」と呼ばれている歯並びのことです。
本来、正しい噛み合わせは上の歯が下の歯に三分の一程度被さっていますが、それが上下反対になっているため、「反対咬合」と呼ばれています。
「下顎前突症」はその名の通り、下の顎が前方向に飛び出している症状のことで、「反対咬合」と「下顎前突症」はどちらも下顎が前に出ている噛み合わせという同じ状態です。
以下に一つでも当てはまる場合は「反対咬合(下顎前突症)」の可能性があります。
▽子供の反対咬合(下顎前突症)チェックリスト
- 上下の歯をイーっと噛むと下の歯が上の歯よりも前に出ている
- 食べ物を前歯で噛み切るのが難しい
- 咀嚼が難しい
- 発音(特にサ行、タ行)がしにくい
- 舌足らず
- 顎が痛い
※気になる方は歯科医院の検査を受けることをおすすめします。
子供の反対咬合は自然に治るの?
受け口は成長と共に自然に治るかもしれないと思われる親御様方もいらっしゃいますが、反対咬合は自然治癒はあまり期待できず、放置すると症状が目立ってくるケースがほとんどです。
1歳から2歳までの乳歯の時期は受け口気味であっても、自然に改善されていくケースがありますが、乳歯が生え揃う3歳を過ぎると治療の対象となります。
特に注意すべき反対咬合は、生まれつき骨格的に問題がある症例の場合です。下顎が変形したまま成長すると、下顎がどんどん前方向へ突き出てしまう可能性があるため要注意です。
下顎の骨「下顎骨(かがくこつ)」は身長が伸びる小学生の時期に大きく成長しますので、幼少期に矯正治療を始めることが大切です。
子供の反対咬合の種類
子供の反対咬合は大きく分けると2種類あります。
一つは歯並びに原因があるケース、もう一つは骨格的な問題があるケースです。
①歯並びに原因があるケース
歯並び検査の結果、骨格的には問題がないものの、下の前歯が前方へ出ている場合は、歯並びに原因があります。
反対咬合の歯並びになってしまう原因は、日常生活において口腔習癖と呼ばれる舌の癖や習慣があるために、歯が動いてしまったためです。
▽反対咬合になった原因
- 長年の指しゃぶりの癖(3歳までは問題ありません)
- 舌で前歯を押し出す癖がある
- 唇を噛む癖がある
- 爪を噛む癖がある
- 頬や唇を吸い付ける癖がある
- 口呼吸になっている(本来は鼻呼吸です)
上記の癖や習慣は微量の力であっても、毎日繰り返される行為ですから、次第に下の前歯がどんどん前方へ押されて結果的に受け口の歯並びになってしまうのです。
こういった悪習癖は顎の成長バランスが悪くなり、後述する骨格的な要因にも繋がってきますので、早めに改善することが大切です。
②骨格的な問題があるケース
遺伝的な要因は100%ではありませんが、顎骨の大きさや形は遺伝する傾向にあり、親御様のどちらかに下顎前突症の症状がある場合、子供の顎骨のサイズが似てくることが多いです。
結果的にお子様の下顎が上の顎よりも大きく成長し、下顎が前側に出てくる、もしくは上顎が下顎より後ろに位置するケースが起こりえます。
遺伝的に似てきたかな?と思われた場合は、お子様の体が著しく成長する前に、幼少期の時に歯並びの検査を受けて、原因に合わせた適切な治療を受けることが大切です。
▽子供の歯列矯正についてはコチラ!
もう迷わない!子供の歯列矯正を受ける歯医者の見極め方4大条件 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)
子供の反対咬合の治療法は?
ここからは、子供の反対咬合の治療法をご紹介しましょう。
受け口を改善する基本的な治療方針は以下になります。
①上下顎骨のバランスを整える
②正常な成長発育を促す
※実際の治療方針は矯正装置や歯科医院によって異なります。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は子供用の柔らかいマウスピースをお口に装着して、お口の周りの筋肉の発達を適切に促して、反対咬合を改善する治療法です。
▽マウスピース矯正の特徴
- 柔らかい素材のマウスピースを装着する
- 痛みや違和感が少ない
- 装着時間は日中の1時間+就寝時
- 取り外しも可能
- 顎の大きさを広げる
- お口の周りの筋肉の発達を促す
- むし歯のリスクも低い
治療期間の目安:1年半~2年
寝ているときにマウスピースを付けることで自然と舌や唇の筋肉、顎のバランスを整えることができます。取り外し可能なため、装着時間はしっかりと守ることが大切です。
▽反対咬合の症例はコチラ
【小児矯正の症例】反対咬合|マイオブレースの症例をご紹介 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)
フェイスマスク(上顎前方牽引装置)
骨格的に顎のズレが大きい症例では、フェイスマスク(上顎前方牽引装置)と呼ばれる取り外し可能な装置を使用した治療法があります。
▽フェイスマスクの特徴
- 骨格のズレが強いケースに向いている
- 痛みや違和感が少ない
- 寝ている時に装着する
- 上顎の成長を促進する
- 下顎の成長を抑制する
治療期間の目安:半年~1年
寝ている時に装着し、下顎が動くと上顎が前に引っ張られますので、上下の顎のバランスが調整される仕組みです。
床矯正
床矯正とは、取り外し可能なプラスチック素材の装置をお口の中に装着し、顎を広げながら反対咬合の歯並びやかみ合わせを整える治療法です。
▽床矯正の特徴
- 大きいため違和感あり
- 上の顎の骨の成長を促す
- 永久歯が生えてくるスペースを確保する
- 顎骨の大きさと歯並びのバランスを良くする
- 永久歯が生え揃う前の6歳~11歳に行う
治療期間の目安:1~2年程度
上の顎が小さい症例では、成長期に合わせて床矯正で顎を広げながら、永久歯がきれいに並ぶためのスペースを確保します。
子供の反対咬合は大人になった時に治療をしてもいい?
個人差はありますが、一般的に下顎は体の成長が著しい小学生をピークに発達し、12~14歳頃になると永久歯が全て揃いますので、上下の顎のバランスを整える治療が難しくなります。
反対咬合になった口腔習癖を治さずにそのまま成長するため、さらに歯並びや噛み合わせ悪くなる可能性があり、顎関節症の原因になる可能性もあるので注意が必要です。
成長期を過ぎてから矯正治療をする場合、外科手術で顎の骨を削ったり、歯を抜いたりしなければならないリスクがあります。
一方で、子供の矯正治療では、歯が生え変わる成長期に行うため、体の成長を上手く活用しながら、顎骨の発達をコントールできるメリットがあります。
また、矯正治療と同時に悪習癖を取り除いて治療を進めていき、上下の顎骨が適切な方向へ成長・発達するように促すことができるので、根本的な改善となるのがポイントです。
▽マウスピース矯正の症例はコチラ!
【小児矯正の症例】反対咬合|マウスピース矯正の症例をご紹介 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)
子供の反対咬合は早期治療が大事な理由
子供の不正咬合には歯並びが原因によるケースと骨格的な問題があるケースがありますが、骨格的な反対咬合は体の成長と共に症状がさらに進行する可能性があるため要注意です。
特に前歯が反対になっている症例よりも、奥歯に反対咬合の症状が見られる場合は、骨格的な原因と判断され、重症度が高いために早期治療が求められます。
将来の体とお口の健康のためにも、下顎が成長する前の3歳~6歳頃にマウスピースやフェイスマスクなどの専用の矯正装置を使用した治療を始めることが大事です。
▽口腔育成についてはコチラ!
お口のターニングポイントは3歳!口腔育成は生涯におけるお口の健康に影響を及ぼす – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)
小児矯正歯科「ABC Dental」は口腔内スキャナー「iTero」を導入
子供の反対咬合を治療するには、まず原因を探るために歯科医院でレントゲン撮影や歯型を取る検査をする必要があります。
当院では、歯並び検査の際に、高精度で快適な型取りを行うことができる口腔内スキャナー「iTero(アイテロ)」を導入しています。
「iTero」は奥歯の噛み合わせや噛み圧について把握できるため、高精細な歯型を取り、精密なマウスピースを製作することが可能です。
型取りをするために、従来のやり方はゴムのような印象材をお口に入れる必要があり、お子様にとって苦しさを我慢せざるを得ませんでした。
「iTero」はお口の中を1分間程度スキャンする3D光学スキャナーを採用しているので、息苦しさはなく、快適にスピーディーに歯型を取ることができます。
子供の歯並びの問題は早期に発見することで、根本的な解決にアプローチした治療を受けることができますので、ぜひ一度歯並び検査にお越しいただければと思います。
▽iTero(アイテロ)について詳しくはコチラ!
【小児矯正】不快な歯型取りは不要な時代へ!口腔内スキャナー「アイテロ(iTero)」のご紹介 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)
まとめ
小児矯正は子供ならではの成長を利用した矯正治療ができる点がメリットです。
当院の小児矯正は、マウスピースを使った矯正治療で歯並びとかみ合わせを改善すると同時に、お口周りの筋肉トレーニング、舌のトレーニングを行います。
3歳の頃から予防矯正に取り組むことで、治療期間と費用も抑えられるメリットがありますので、気になる方は当院の無料カウンセリングでお気軽にご相談ください
東雪谷、南雪谷、雪谷大塚町、上池台、久が原、南馬込、北馬込、西馬込、東馬込、仲池上、北嶺町、東嶺町、西嶺町、池上、下丸子などのエリアからも通いやすい小児歯科医院です。