乳歯が中学生になっても抜けない!生え変わり時期が遅い場合の影響は?

授業中の中学生

中学生になっても乳歯が抜けない原因と影響をご紹介。乳歯が遅くまで残る理由や心配な点、対処法を小児歯科医が解説。歯の生え変わりや歯並びが気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。

こんにちは!

大田区田園調布にある、子ども専門 小児歯科・矯正歯科「ABC Dental」の院長です。

乳歯は全部で20本あり、一般的には5歳頃から自然と抜け落ちて、永久歯へと生え変わっていきます。

しかし近年、「中学生になっても乳歯が抜けそうにありません…」「子供の乳歯がなかなか抜けません…」と当院にご相談に来られるケースが増えています。

そこで今回は、中学生になっても乳歯が抜けない原因、抜ける時期が遅いことによって起こりえる悪影響について、小児歯科医が解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

乳歯が抜け始める時期は?

乳歯 歯の名称

乳歯が抜け始める時期はお子様によって個人差がありますが、一般的には5歳前後から永久歯が成長して生える準備が整い、乳歯がグラグラし始めて、自然と抜け落ちます。

体の成長と共に顎が発達していき、13歳頃になると、上14本、下14本、合計28本(親知らずを除く)の永久歯列が完成します。

乳歯が抜ける仕組み

乳歯が抜ける仕組みを簡単に説明すると、永久歯が成長して生える準備が整ったタイミングで乳歯が抜け落ち、生え変わりが始まります。

※乳歯が抜ける時期は個人差があります。

妊娠5か月ごろまで:永久歯の種である歯胚が作られる

生後9か月ごろまで:乳歯が生え始める

永久歯が顎の骨の中で成長し、生え始める準備ができるまでの間、乳歯が生えています。

3歳半ごろまで:すべての乳歯が生え揃う

5歳前後から:永久歯への生え変わりが始まる

永久歯が成長し、生える準備が整うと、乳歯の根っこが細胞によって少しずつ溶けて、乳歯がグラグラ揺れ始めて、やがて抜け落ちます。永久歯への生えかわりが完了します。

中学生になるまで(13歳頃まで):すべての永久歯が生え揃う

中学生になっても乳歯が抜けないのは問題?

悩んでいる女子中学生

乳歯から永久歯への生え変わりは成長している証でもありますので、中学生になってもなかなか乳歯が抜けそうにないと、不安になる親御様もいらっしゃるでしょう。

しかし、年齢が同じお子様でも、一人ひとりの身長や体重に個人差があるように、乳歯が抜けるタイミングも早い・遅いなど、お子様によってそれぞれ異なります。

例えば、乳歯が全く揺れる感じがしない、乳歯がグラグラしているけれど抜けない、乳歯が一部残っているなど、お子様によって様々なケースがあるのです。

永久歯に生え変わるタイミングは個人差がありますので、中学生になっても乳歯が抜けなかったり、永久歯が生えてくる時期が遅くても、過度に心配する必要はありません。

周りの同級生から「歯の生え変わりが終わった」と聞いても、慌てることなく自然と抜け落ちるまで様子を見ましょう。

ただし、歯をぶつけて割れたり、生まれつき永久歯がない「先天性欠如」、永久歯が骨に埋まったまま生えてこない「埋伏歯」の場合は、早めに歯科医院に診てもらう必要があります。

心配な場合は、小児歯科医に相談して、レントゲン撮影をして、現在の永久歯の様子を確認されることをおすすめします。

▼「子供の歯の生え変わりが遅いメリットと注意点について」はコチラをチェック!

子供の歯の生え変わりが遅いのは問題?意外なメリットと注意点とは? – 大田区田園調布のABC Dental 子ども専門 小児歯科 矯正歯科

歯の生え変わり時期が遅い5つの原因

ぐらつく子供の前歯(乳歯)

歯が生え変わるタイミングは個人差が大きいと述べましたが、遅くなる原因は5つのパターンがあります。それぞれ見ていきましょう。

①永久歯の成長速度が遅い

前述したとおり、永久歯が成長する速度は人によってそれぞれ異なりますので、永久歯の成長速度が遅い場合は、乳歯が抜ける時期が遅くなり、生え変わるタイミングも遅くなります。

成長速度が早い場合は5歳前後で生え変わりが始まりますが、中学生になってようやく抜け始めるケースもありますので、なかなか抜けなくても、様子を見るようにしましょう。

②生まれつき永久歯がない「先天性欠如」

一般的に成長に伴い、乳歯20本が抜けると、永久歯28本が生え揃いますが、生まれつき永久歯が生えてこない、もしくは永久歯の数が少ない「先天性欠如」と呼ばれるケースがあります。

「先天性欠如」とは、妊娠中に何らかの原因で永久歯の種である歯胚が作られず、永久歯が生えてこない症状です。割合としては10人に一人に発生します。

永久歯が生えてこないと細胞が乳歯の根っこを溶かすことができず、乳歯が抜け落ちませんので、生涯、ずっと乳歯を使わなければならず、適切な治療と対策が必要になります。

永久歯が欠如している位置は前から2番目(上顎側切歯)と5番目の歯(第二小臼歯)に多く見られます。気になる方は歯科医院に相談し、X線検査を受けましょう。

③永久歯が顎の骨に埋まった「埋伏歯」

「埋伏歯(まいふくし)」とは、永久歯が顎の骨の中や粘膜に埋まったまま生えてこない、もしくは一部だけ生えてくる状態をいいます。「親知らず」は埋伏歯であるケースが多いです。

永久歯が顎の骨に埋まったまま生えてこないと、乳歯の根っこが溶かされないので、乳歯は抜け落ちることはありません。

埋伏歯は特にトラブルがなければ、そのままでも問題ありませんが、歯並びが悪くなる場合は、外科手術によって埋伏歯が生えられるように治療が必要です。

④本来よりも歯が多く生える「過剰歯」

稀に本来よりも歯が多く生えてくる「過剰歯」というケースもあります。

基本的に、乳歯列は20本・永久歯列は28〜32本ですが、それよりも多く生えてきた場合は過剰歯となります。割合としては30人に一人くらいに起こる症状です。

過剰歯があると永久歯が生えてくるスペースが確保できず、永久歯が出てこられなくなり、歯の生え変わりが遅くなっている可能性が考えられます。

過剰歯の治療法としては、外科手術によって過剰歯を取り除く処置が必要です。

⑤外傷(怪我)によるダメージ

お子様が遊んでいる時に転んで乳歯を地面にぶつけたり、ボールが乳歯にぶつかったりして怪我をした場合は、歯の内部の組織が破壊されてしまった可能性があります。

特に前歯の乳歯に外傷によるダメージがあると、乳歯の歯根が溶かされずに、永久歯に生え変わるタイミングが遅くなるケースがあるのです。

その他にも、歯の根の治療(感染根管治療)を受けた場合も、歯根が溶かされて短くならずに、なかなか乳歯が抜けないことがあります。

乳歯がなかなか抜けないことの影響

頬を抑える女子学生

ここからは、乳歯がなかなか抜けない場合にどんな影響があるか見ていきましょう。

歯並びが悪くなる

乳歯が抜けないまま、そのまま放置していると、永久歯が生えるスペースが足りない部分が出てくるので、他の歯とのバランスが崩れて、歯並びが悪くなる可能性が高くなります。

また、歯並びが悪くなると、咬み合わせにも影響を及ぼして、全身にも頭痛や肩こり、めまい、腰痛などの症状が現れることがあります。

▼『子供用のマウスピース矯正』

近年の小児矯正は、従来のワイヤー矯正に比べて痛みや違和感が最小限に抑えられた『子供用のマウスピース矯正』が主流となっています。

『子供用のマウスピース矯正』は矯正装置が目立たず、受験や習い事、スポーツをされているお子様もストレスなく、続けやすい治療法です。

虫歯ができやすくなる

乳歯が抜けずに残ったままになると、虫歯になりやすいのでセルフケアが重要です。

乳歯は永久歯に比べて耐久性が低く、虫歯になりやすい特徴があり、進行速度も速いので、しっかりとブラッシングをすることが大切です。

やっと乳歯がグラグラし始めた!自宅で抜いても大丈夫?

乳歯の生え変わり

ようやく乳歯がグラグラし始めて。「今にも抜けそう!」という時は自宅で抜いてしまっても良いでしょうか?

歯茎からほとんど取れている時は食事もしにくくなりますので、清潔な手で歯を軽く揺さぶりながら引っ張っていると、自然にポロリと抜けます。

自宅で乳歯が抜けた後は、抜けた部分にガーゼを当てて止血を行うと5分程度で止まります。傷口から細菌が入らないように十分に注意しましょう。

ただし、無理に引っ張ったり、ねじったりすると歯茎が傷ついたり、歯の根が折れて歯茎に残ってしまう可能性があるので、心配な方は歯科医師に抜歯をしてもらうと良いです。

いつまでも抜けない乳歯がある場合の対処法

歯科衛生士

乳歯が抜ける時期は個人差によるものが大きいですが、いつまでも抜けない場合はストレスにもなりますので、早めに歯科医院へ相談しましょう。

歯科医院でX線検査を受けた結果、永久歯の先天欠如の部位がある場合、過剰歯がある場合、歯並び・咬み合わせに問題があると医師が判断した場合は、治療が必要になります。

矯正治療を始めるベストなタイミングも歯科医院での歯並びの検査で分かりますので、気になる方はなるべく早い段階で歯科医院の診断を受け、適切な矯正治療を受けましょう。


歯の生え変わり・歯並び相談は「ABC Dental」へお気軽にどうぞ

歯の生え変わりが遅いかな?、歯並びは大丈夫かな?とご心配な方は一度、大田区田園調布にある、子ども専門 小児歯科・矯正歯科「ABC Dental」までお気軽にご相談くださいませ。

「ABC Dental」の歯科検診では生え変わるタイミング、歯並び・咬み合わせのチェック、虫歯や歯肉炎のトラブルなどの早期発見と適切な治療のご提案をいたします。

乳歯は自然と抜け落ちて永久歯に生え変わることがほとんどですが、先天性欠如、埋伏歯、過剰歯などがある可能性もありますので、気になる方は一度確認しておきましょう。

まとめ

中学生になっても乳歯が抜けないことは珍しいことではなく、多くの場合は自然と生え変わりますので経過観察をしていくようにしましょう。

なかなか抜けずに心配な場合は、念のため、早めに歯科医院にチェックをしてもらうと安心です。