【子供のすきっ歯】将来の歯並びは大丈夫?原因と対処法を歯科医が解説

三世代家族

子供のすきっ歯が気になる方必見!小児歯科医が解説する、すきっ歯の原因と対処法。乳歯のすきっ歯は問題なし?永久歯のすきっ歯は要注意?すきっ歯の矯正治療や費用も解説。

こんにちは!

大田区田園調布にある、子ども専門 小児歯科・矯正歯科「ABC Dental」の院長です。

子供が笑ったときに小さな歯が並んだ「すきっ歯」はとても可愛らしいものです。

しかし、保護者様にとっては「このままずっとすきっ歯のままかなぁ…」「自然に治るものなの?」「歯並びが悪くなるかな…」と気になっている方は多いかもしれません。

今回のテーマは、子供のすきっ歯が気になる保護者様に向けて、歯並びの問題となる原因と対処法について歯科医が解説していきます。ぜひ、参考にしてみてください。

すきっ歯とは?

すきっ歯の歯並び

まず初めに「すきっ歯」とはどんな状態のことをいうのか確認していきましょう。

その名の通り、歯と歯の間に「すき間」がある状態の歯並びのことをいい、正確には「歯間離開(しかんりかい)」や「空隙歯列(くうげきしれつ)」と呼ばれる歯列不正の一つです。

「すきっ歯」には、上の前歯に大きなすき間があるケースだけでなく、パッと見た目には分からない奥歯がすきっ歯になっているケースもあります。

子供のすきっ歯は大丈夫?

親子

子供の前歯がすきっ歯になっていると、見た目が気になるかもしれませんが、結論から申し上げますと、乳歯の時期にすきっ歯の状態でも問題はありません。

実は、乳歯の時期に歯と歯の間にあるスペースは、乳歯よりもサイズが大きく、本数も多い永久歯が正しい位置に生えてくるために大事なスペースになるのです。

そして、子供のすきっ歯は永久歯が生えるために一時的な状態ですから、将来もずっと「すきっ歯の状態」が続くわけではありませんので、過度に心配する必要はありません。

歯と歯の隙間は永久歯が生えてくるために必要なもの

乳歯の時期に歯と歯の間にすき間ができるのは、永久歯に生え変わる時期に歯が正しい位置に生えてくるために必要なスペースが必要になるので、すきっ歯になる方が理想的なのです。

もし、歯と歯の間にすき間がなければ、歯がまっすぐキレイに並ぶことができません。

3人掛けのソファに無理やり5人が座ろうとすると、おしくらまんじゅうの状態となって、ラインからはみ出してしまうのと同じことです。

子供のすきっ歯は一時的に見られるものであって、すき間はキレイな歯並びのために大事なものですから、安心していただいて大丈夫です。

子供のすきっ歯は自然に治るの?

子供 歯

乳歯が生え揃った頃に「すきっ歯」であっても、永久歯に生え変わるにつれて、自然とすき間が目立たなくなりますので、見た目も気にならなくなります。

子供のすきっ歯は成長と共に自然と改善していく場合がほとんどですから、現時点ですきっ歯でも、過度に心配する必要はありません。

子供のすきっ歯はいつまでOK?

子供によって個人差がありますが、一般的には乳歯は1歳~2歳半ごろに生え始めて、2歳半~3歳半頃に乳歯20本が全て生え揃います。

乳歯列期(3歳~6歳頃)は永久歯が生えるための準備期間となり、顎と歯が成長していますので、ほとんどの子供は歯と歯の間にすき間がある「すきっ歯」の状態になります。

乳歯が永久歯に生え変わりが始まるのは一般的に6歳~12歳頃になりますが、その混合歯列期は体の成長が著しく、特に上の前歯がすきっ歯の状態になりやすいです。

子供がすきっ歯じゃないと逆に問題あり?

歯痛を訴える男の子

乳歯時期にすきっ歯になるのは問題はなく、歯と歯のスペースは大事なものだと分かりましたが、逆にすき間が見られない「すきっ歯じゃない」場合は問題になるでしょうか?

永久歯が生え変わる時期にすき間が全くないと、見た目はキレイですが、永久歯が正しい位置に収まるスペースが足りずに、歯と歯がぎゅうぎゅうの状態に生えてきてしまいます。

永久歯が生え揃った頃に、歯並びがガタガタになる(叢生)と呼ばれる不正咬合(歯並びと咬み合わせに問題がある)になる可能性があります。

子供がすきっ歯じゃないと歯並びが悪くなる?

乳歯時期にすきっ歯じゃないと、確実に歯並びが悪くなる、というわけではありません。

歯並びが悪くなる原因は先天的な要因(遺伝や骨格的な問題)のほか、後天的な要因(舌で歯を押し出す癖や口呼吸など)もあるからです。

子供の成長過程では顎や口周りの筋肉が大きく発達していきますので、永久歯が生え揃うまでにお口のトレーニング等を行うことで、歯並び悪化を予防することは十分に可能です。

永久歯が生え変わる頃にすきっ歯の場合はどうする?

乳歯時期のすきっ歯は心配する必要はありませんが、永久歯が変わる頃に「すきっ歯」になったら、どうすればよいでしょうか。

永久歯に生え変わる時期に「すきっ歯」になった場合は、見た目が気になるだけでなく、発音がしにくくなったり、虫歯・歯周病リスクが高くなる可能性が高くなります。

永久歯が生えてきた頃に「すきっ歯」が気になる方は、歯科医院に歯並びの相談されることをおすすめします。

すきっ歯はどんな影響がある?3つのデメリット

すきっ歯(キャラクター)

子供のすきっ歯は以下のデメリットが挙げられます。

①見た目のコンプレックス

子供のうちは気にならないかもしれませんが、思春期に入ると「すきっ歯」が気になって大きく笑えなくなったり、見た目に自信が持てずに消極的になってしまうかもしれません。

②発音がしにくい

機能面では発音がしにくい、発音が不明瞭になるデメリットがあります。前歯のすき間から空気が漏れて、特にサ行の発音が難しくなり、コミュニケーションに支障をきたします。

③虫歯・歯周病リスクが高まる

歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなります。ブラッシングや口腔ケアがおろそかになると歯垢(プラーク)が溜まりやすく、虫歯と歯周病のリスクが高くなるので注意が必要です。

子供がすきっ歯になる原因4つ

すきっ歯

子供がすきっ歯になってしまうのは、大きく分けると先天的な要因(生まれつきの理由)と後天的な要因(舌の癖や習慣)があり、以下の4つが考えられます。

①生まれつき歯が小さい・歯が少ない(先天的な要因)

生まれつき歯のサイズが小さい(矮小歯)、また永久歯の数が少ない(欠損歯)ケースがあります。この場合、歯と歯の間に余分なスペースが空いて、すきっ歯の原因となります。

また、通常の歯の本数(乳歯20本・永久歯28〜32本)よりも多く生える歯(過剰歯)が顎の骨に埋没しているとすきっ歯になることもあります。

②上唇小帯が長い(先天的な要因)

上唇小帯とは、上唇の内側と歯茎をつなぐ三角形のヒダのことです。赤ちゃんの頃は太くて長いですが、成長と共に自然とヒダが上へ移動して短く小さくなっていきます。

しかし、ヒダが長いままで永久歯の間に入ってしまったり、低い位置にあると、下あごの前歯(乳中切歯)を押して、すきっ歯になることがあります。

③歯と顎の大きさがアンバランス(先天的な要因と後天的な要因)

生まれつき歯が大きく、顎が小さすぎる場合、反対に歯が小さく、顎が大きすぎる場合は、歯と顎の大きさにアンバランスが生じて、歯と歯のあいだに隙間ができやすいです。

歯と顎の大きさのバランスは先天的な要因と後天的な要因があります。骨格や歯の大きさ、形、本数などは遺伝的な要因が大きいですが、上顎の成長ピークは5歳頃になります。

顎が急速に成長しているときに、食べ物をよく噛んだり、咀嚼回数を増やして顎を鍛える必要がありますが、顎に発育不全が見られる場合は、すきっ歯になることがあります。

④舌の癖や指しゃぶりの習慣(後天的な要因)

子供はまだ口周りの筋肉が十分に発達していないため、食べ物や飲み物を飲み込むときに、舌で前歯を押し出してしまう癖が付きやすいです。

また、指しゃぶりの習慣が3歳以降も止められなかったり、口呼吸やお口がポカンと開いている場合、すきっ歯になったり、出っ歯などの歯並びになりやすいので注意が必要です。

子供のすきっ歯を自力で治す方法はある?

子供のすきっ歯が気になって、自分で治す方法はないかな?とネット検索された方もいらっしゃるでしょう。

最近は、ブログや動画などで自力で矯正する様々な方法が紹介されており、輪ゴムを使ったやり方が話題になったこともあります。

しかし、自己流で歯を動かしたり、輪ゴムで動かそうとすると、歯と歯茎を痛めてしまい、歯のトラブルになるので大変危険ですからNGです。

余計にすき間が広がったり、歯茎が感染症になるリスクも高まりますので、自力で治すやり方はおすすめできません。

すきっ歯が気になる方は、まずは歯科矯正の専門医に見てもらい、必要に応じて治療を受けることを検討されるとよいです。

子供の前歯のすきっ歯を矯正する治療とは?

歯並びの綺麗な笑顔の子供の写真

ここからは、子供のすきっ歯を矯正する治療法についてご紹介しましょう。

乳歯の時期は成長の過程で一時的な状態ですから、経過観察となることがほとんどですが、永久歯がすきっ歯の場合は、精密検査の結果を元に原因に合わせた治療が必要です。

MFT(口腔筋機能訓練)

舌で前歯を押し出す癖、指しゃぶりの癖、口呼吸などの癖がある場合は、「MFT(口腔筋機能訓練)」と呼ばれるお口周りのトレーニングを行います。

すきっ歯の原因となるこれらの悪習癖を改善しながら、舌の位置を正しい位置に改善し、口呼吸から鼻呼吸への改善が期待できます。

トレーニングによって顎の発達を促し、正しい飲み込み方ができるようになり、発音がしやすくなったり、きれいな歯並びの土台作りができて、噛み合わせの改善にも繋がります。

床矯正

床矯正とは、取り外しが可能な装置(床)を使って顎の骨の成長を促し、歯がきれいに並ぶためのスペースを作る矯正法です。

近年の子供たちは硬い食べ物を食べる機会が少なく、咀嚼回数が減っているため、全体的に顎の成長不全になっているケースが多く見られます。

床矯正によって歯と顎を適切な方向へ成長を促すことができれば、顎の骨を横へ拡大することができ、歯並びと咬み合わせの改善が期待できます。

マウスピース矯正

近年の子供用マウスピース矯正は急速に進化しており、付け心地が軽やかでストレスフリーで続けやすい、というメリットがあります。

マウスピース装置には「インビザライン」や「マイオブレイス」など、様々な種類がありますが、そのほとんどがお子さまの負担が少ないのが特徴です。

子供のすきっ歯の治療開始時期はいつ?

子供のすきっ歯を矯正するなら、いつぐらいに治療を開始すればよいでしょうか?

▼子供のすきっ歯の治療開始時期

・Ⅰ期治療(6~11歳頃)

顎の骨の成長を促し、永久歯がきれいに並ぶためのスペースを作る

乳歯と永久歯が混在する「混合歯列期」に行われる

永久歯が生え始める6歳頃に開始する

・Ⅱ期治療(12歳頃~)

永久歯が揃ってから行う「永久歯列期」

歯の位置を動かして歯並びを整える

矯正を開始するタイミングは子供一人ひとりによって異なりますので、まずは歯科医院に見てもらい、レントゲン撮影と検査をしてもらうことが先決となります。

乳歯が永久歯に生え変わる6歳~7歳頃に見られるすきっ歯は成長過程で自然と隙間が埋まることも多く、すぐには治療の必要がなく、自然経過となることもあります。

先天的に欠損歯や過剰歯が見られたり、舌や呼吸の癖がある場合には、歯科医院が原因と特定し、永久歯が生え揃った歯並びと咬み合わせを想定しながら、適切な治療法を提案します。

子供のすきっ歯を矯正する治療にかかる費用はどれくらい?

小児矯正は健康保険診療外の治療になりますので、全額負担となり、費用は高額になります。

治療費は歯科医院の料金設定、治療方法、治療期間によって合計の費用は異なります。

一般的な相場は1期治療が30~50万円、2期治療が60~100万円程度です。マウスピース矯正は50~100万円 くらいが相場です。治療期間の目安は2年~3年です。

※歯科医師が疾患と判断した場合、症例によっては保険適用となります。 

子供のすきっ歯の歯並び相談はABC Dentalへお気軽にご相談ください

お子さまの歯並びが気になる方、すきっ歯を治した方がいいのかな?とご心配な方は、子供専門の小児歯科「ABC Dental」の歯並び無料相談をお気軽にご利用ください。

当院では、小児矯正を専門とする歯科医がお子さまの歯並びの状態、歯と顎のバランス、お口の使い方、舌や唇癖などがないか等をチェックし、すきっ歯の原因を突き止めます。

顎の発達途中にあるお子様はお口のトレーニングとマウスピース矯正によって舌癖・口唇癖を改善し、顎バランスを整えることで、将来抜歯をする処置をせずに、歯並びを正しく整えることが可能です。

院内の雰囲気は明るく楽しい設備が整っておりますので、ぜひ以下のご予約おページからお気軽にご相談いただければと思います。

まとめ

今回は子供のすきっ歯の原因や対処法について解説しました。

乳歯時期のすきっ歯は一時的なもので問題ありませんが、永久歯の生え変わる頃に気になった場合は、一度、歯科医院で相談されることをおすすめいたします。

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