子供の食べづらさ・噛みにくい原因は歯並びに問題があった?!

「子供の歯並びが悪いと食事が困難になり、消化・吸収への負担が大きくなるため、早期の矯正治療が推奨されていることについて、小児歯科医が解説していきましょう」

みなさん、こんにちは!

東京都大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門の歯科医院「ABC Dental」の院長です。

お子様が食事をしていると、「硬いものが食べにくそうだなぁ…」「噛むのが難しそうだなぁ…」と感じることはありませんか?

他のお子様と一緒に食べていると、「うちの子は食事に時間がかかってしまう…」と気になる保護者様もいらっしゃるかもしれません。

実は、子供の食べづらさ、食べ物を上手く噛むとができない原因は歯並びと噛み合わせに問題がある可能性があります。

現代の子供は全体の60%以上に歯並びと噛み合わせに問題があると言われており、食事が困難になるケースが増えているのです。

そこで今回は、子供の歯並びが悪いと食事が困難になり、消化・吸収への負担が大きくなること、早期の矯正治療が推奨されている理由について、小児歯科医が解説していきます。

▽先読み!この記事で分かること

  • 子供の歯並び・噛み合わせが悪いと食事困難になりやすい
  • 咀嚼効率が低下しますので、食事に時間がかかる
  • 普段の食事の仕方に気を付けたいポイント
  • 適切な矯正治療を検討されると良い

ご質問:子供が食べ物を噛みにくいのはなぜ?

ご質問をいただきました。

ご質問者様:6歳の息子さんのお母様

息子の食事について質問です。

息子の歯並びは上の前歯が出っ張っている「出っ歯」です。そのせいか、食べ物を噛みにくく、食事が難しいようです。リンゴの丸かじりができず、上手く噛み切ることができません。

きんぴらごぼうなど硬い食べ物も苦手でなかなか食べてくれません。食事の時間も長くなるのでどうすればよいか困っています。原因と対処法を教えてください。よろしくお願いします。

回答:上顎前突(出っ歯)の不正咬合が原因の可能性がありま

質問に回答します。

お子様の歯並びが「出っ歯」である場合、「上顎前突」と呼ばれる不正咬合の可能性があり、歯並びと噛み合わせに問題があるため、上手に噛むのが難しい状態にあると考えられます。

「上顎前突」とは、下の前歯よりも上の前歯が前に出ている状態のことをいい、上の前歯が傾斜していたり、下顎の生育不十分、指しゃぶりや口呼吸などの習慣が原因で起こります。

いわゆる「出っ歯」の状態では、リンゴを丸かじりするようなシンプルな動作も、前歯が傾いているために上手く噛み切れず、食べることが難しくなります。

リンゴをかじるためには、前歯をしっかりと噛み合わせる必要があります。食べ物をしっかり前歯で噛み切ったり、奥歯ですり潰すためには、適切な歯並びと噛み合わせが必要です。

噛み合わせに問題があると、ステーキやおせんべいといった特に硬い食べ物をしっかりと前歯で噛み切ることが難しく、咀嚼効率が低下しますので、食事に時間がかかってしまいます。

お子様の歯並びや噛み合わせに不安がある場合、小児矯正を専門とする歯科医に診てもらい、適切な矯正治療を検討されると良いでしょう。

年齢が早い時期に矯正治療を受けることで、お口元とお顔全体の印象が良くなるほか、食事においての咀嚼・嚥下、消化・吸収を助け、正しい発音など口腔機能の向上にも役立ちます。

▽子供の出っ歯についてはコチラ!

子供の出っ歯(上顎前突)は自然に治る?原因と対処法・治療法について解説 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)

子供の歯並び・噛み合わせが悪いと食事困難になりやすい

私たちが普段何気なく行っている食事は、食べ物を前歯で噛み切り、奥歯で噛み砕き(咀嚼・そしゃく)、そして飲み込み(嚥下・えんげ)の一連の行動によって食道、胃まで食べ物を送り込みます。

このような一連の食事の動作をするには、正しい歯並びと噛み合わせが必要ですが、歯並びと噛み合わせに問題がある場合、一連の機能が上手く働かないため食事が難しくなるのです。

食事の機能で最も重要な咀嚼が上手くできなくなり、消化・吸収に影響を与えて、子供に必要な栄養分を十分に摂取できなくなるリスクもあるので注意が必要です。

食行動に悪影響を与える!子供に多い不正咬合の種類

歯並びが悪いと食事が難しくなることがお分かりいただけたと思います。歯並び・噛み合わせに問題がある状態を「不正咬合(ふせいこうごう)」と言います。

子供によくある「不正咬合」はどういったタイプがあるのか見ていきましょう。

上顎前突(出っ歯)

「上顎前突(出っ歯)」は上の前歯が前に突き出ている状態です。

上の顎が大きく前に出ているタイプと下の顎が小さく後ろに引っ込んでいるタイプがあり、日本人には下の顎が引っ込んでいるタイプが多くみられます。

子供の「上顎前突(出っ歯)」は食べ物を前歯で噛み切ることが難しく食べ物を十分に咀嚼することも難しくなり、胃腸に負担をかけて、栄養の吸収を妨げることがあります。

下顎前突(受け口・反対咬合)

通常の噛み合わせは、上の顎の前歯が前方にありますが、「下顎前突(受け口・反対咬合)」は下の前歯もしくは下顎全体が前方に出ている状態です。

舌の位置が下がっている場合や指しゃぶりの癖などによって、下顎前歯が前方に傾くこともあれば、先天的な骨格的要因によって下顎自体が大きく前方に成長しているケースもあります。

子供の「下顎前突(受け口・反対咬合)」は前歯で食べ物を噛み切る機能が上手く使えないことがあり、十分な咀嚼ができないまま飲み込んで、嚥下障害が起こるリスクもあります。

叢生(そうせい)・八重歯

歯の大きさに対して、顎が十分に発達しなかった場合、永久歯がきれいに生えるスペースが足りず、歯と歯が重なって生えてきたり、ガタガタ・デコボコの歯並びになることがあります。

前歯がガタガタしていたり、犬歯が歯列から飛び出ている「八重歯」があると、前歯がしっかりと噛み合わないため、食べ物をしっかりと噛み切ることが難しくなります。

「叢生(そうせい)・八重歯」前歯の咀嚼効率が低下し、結果的に奥歯に負担をかけることになり、消化・吸収が妨げられて、胃腸への負担が大きくなります。

開咬(オープンバイト

上下の歯を「イー」と噛み締めたときに、奥歯はしっかりと噛み合うものの、前歯だけが噛み合わず、空間ができてしまう状態を「開咬(オープンバイト)」といいます。

「開咬」になる原因は、舌を前歯の間に入れてしまう癖があったり、3歳以上まで指しゃぶり・おしゃぶりの癖があったり、口呼吸などの口腔習癖が考えられます。

通常、上下の歯を噛み合わせると、上の前歯が下の前歯に若干被さっていますが、開咬の場合、前歯が噛み合わないため、常に奥歯で噛むことになり過重な負担がかかってしまいます

交叉咬合(クロスバイト)

通常は上下の歯がしっかりと噛み合っていますが、「交叉咬合(クロスバイト)」は上下顎の奥歯の噛み合わせにズレがあり、歯列の一部が交叉している状態をいいます。

「交叉咬合(クロスバイト)」になる原因は上顎骨の幅が狭いという遺伝的な要因の他、指しゃぶりの癖や口呼吸などの後天的な要因もあります。

歯の一部が外側にズレているため、 食事では上手く咀嚼できず、噛むことが困難に感じたり、将来的に顎関節症や肩こり・頭痛、顎・顔の歪みを引き起こしやすくなります。

過蓋咬合(ディープバイト)

「過蓋咬合(ディープバイト)」とは上下の歯を噛み合わせた時に、上の前歯が下の前歯を深く覆っていて、下の前歯がほとんど見えなくなってしまう状態のことです。

遺伝的要因によって、骨格や顎の骨の大きさ、歯の位置・傾きなどのズレが起きる、もしくは歯を噛み締める癖、下唇を噛む・吸う癖がある後天的な要因も考えられます。

前歯が噛み合っていないので前歯で噛み切ることが難しく、奥歯が噛み合っていない場合は咀嚼効率が下がり、奥歯に過剰な負担がかかって、奥歯のすり減りが激しくなります

子供の歯並び・噛み合わせの悪化を予防する!3つの対策法

子供が食事の際にきちんと噛んで食べることができるように、歯並びと噛み合わせが悪くならないように予防したいものです。

子供の歯並びと噛み合わせは遺伝的な要因だけで決まるわけではないので、普段の食事の仕方で気を付けたいポイント3つをご紹介します。

①食事の姿勢・食べ方を意識する

まず、食事の際には背筋を伸ばすことが大切です。下顎の筋肉は首と背中の筋肉と連動していますので、ピンと背筋を伸ばすと、食べ物をしっかりと噛むことができます。

椅子に座るときには足がしっかりと床についた状態にすることも大事なポイントです。椅子に座って足がブラブラしていると、姿勢が安定せず、しっかり噛むことができません。

幼児用の椅子を使うか、椅子にステッパー(足置き台)を置くと、姿勢が安定するので奥歯で咀嚼しやすくなり、食べ物を飲み込みやすくなるのでおすすめです。

食事の内容にも注意したいポイントがあります。子供が好きな食べものは柔らかく食べやすいものが多く、ハンバーグ、カレー、オムレツ、スパゲティ、ケーキなどが挙げられます。

子供が喜ぶものばかり食べさせていると、咀嚼回数が少なくなるので顎を動かす筋肉が十分に発達せず、結果的に顎が小さくなり、歯列が乱れる原因になってしまうので要注意です。

子供の顎が成長・発達する時期には噛む力を育むために、以下のような硬い食感や噛み応えのある食材を体験させるようにしましょう。

▽噛む回数を増やす食材

  • りんご、梨
  • たけのこ、レンコン、にんじん
  • さつまいも、大豆、いんげん
  • ほうれんそう、小松菜
  • ドライフルーツ、ごま、アーモンド、くるみ
  • 野菜チップス、おせんべい

意識して歯ごたえのあるものも食べさせると、上下運動だけでなく、奥歯ですり潰すように横に動かして噛む運動も加わり、口腔周囲や顎の筋肉、顎の骨の成長を促すことができます。

▽子供の姿勢と歯並びの関係についてはコチラ!

子供の姿勢と歯並びの関係について小児歯科医が解説!背中が丸い姿勢が与える影響 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)

②お口の機能を向上させる「口腔筋機能療法(MTF)」を受ける

3歳を過ぎても、指しゃぶりやおしゃぶりの習慣が止められなかったり、お口がポカンと開いている口呼吸の癖、舌の位置が下がっているといった癖が続くと歯並びに影響します。

子供が何気なくやっている日常の癖はなかなか自然に止めさせるのは難しいかもしれません。定期的に歯科医院で検診を受けることで、日常の癖や習慣に気が付くきっかけになります。

歯科医院では、子供の歯並びや噛み合わせに影響を与える癖や習慣を改善し、お口の機能を向上させる「口腔筋機能療法(MTF)」というトレーニングを設置しているところがあります。

「口腔筋機能療法(MFT)」では専門のトレーナーが正しい噛み方、飲み込み方、鼻呼吸の方法を指導し、繰り返しトレーニングすることで正しい方向へ顎の成長を促します。

永久歯が生え揃う小学校の低学年までに正しい食べ方や正しい舌の位置を覚えて、正常な噛み合わせに改善することで、きれいな歯並びの土台作りになるのです。

▽「口腔筋機能療法(MTF)」についてはコチラ!

小児矯正の口腔筋機能療法(MFT)とは?目的と効果をご紹介 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)

③口腔内を清潔に保つ

子供の歯並び・噛み合わせの悪化を予防するには、自宅での口腔ケアでお口の中を清潔に保つことが大事です。

歯並びが悪くなると歯が重なっている部分や歯ブラシが届きにくい場所に食べかすや細菌が溜まりやすくなり、虫歯や歯周病が発生するリスクが高まります。

虫歯は進行して重度になると抜歯する必要があり、永久歯を早期に喪失してしまった場合、隣にある歯が移動してくる性質がありますので、歯が傾いて歯列が乱れる原因になります。

子供の歯並び・噛み合わせが悪くなると噛みにくさ、食べにくさを感じるようになるので、口腔内のケア(ブラッシング+デンタルフロス+歯間ブラシ)を身に付けることも大切です。

▽子供の歯石対策はコチラ!

子供にも歯石が付くの?!歯石対策には小児矯正が有効な理由を解説! – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)

口腔内機能を改善する「小児矯正」のご紹介

一口に「歯列矯正」と聞くと、歯並びをきれいに整えて、見た目が良くなる審美的なメリットをイメージされるかもしれません。

確かに矯正治療によってお口元とお顔の印象が良くなりますが、当院が行っている小児矯正は見た目の改善だけではなく、歯並びを悪くする根本的な原因にアプローチした矯正治療に力を入れております。

3歳からはじめられる矯正治療「MRC矯正」

歯並びは6歳までに決まってしまうため、6歳までにお口にとって良い習慣を身に付けることで、大人になった時に歯並びに困るリスクを軽減することが可能です。

当院では、指しゃぶりの癖、猫背の姿勢、口呼吸など「口腔習癖(こうくうしゅうへき)」を改善し、3歳からはじめられる矯正治療「MRC矯正」を導入しています。

舌や唇などの根本的な悪習癖を改善し、永久歯が生え揃ったときに不正咬合になるリスクを抑えて、矯正治療後の後戻りを防ぐことができます。

▽マイオブレースの症例はコチラ!

【小児矯正の症例】反対咬合|マイオブレースの症例をご紹介 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)

8歳からはじめられる矯正治療「マウスピース矯正(インビザライン)」

小学校低学年になると、自分の見た目や他人との違いなどが気になってくる年頃です。

従来のブラケットを使用した矯正は周囲の人に気付かれるため、目立ってしまう悩みや痛みが発生しやすいデメリットがありましたが、マウスピース矯正はストレスを最小限に抑えます。

透明で軽いプラスチック素材の矯正装置は目立たず、痛みも少ないため、お子様ご本人のモチベーションを維持しやすいメリットがあります。

「インビザライン矯正」は子供の歯や顎の正常な成長を促し、歯並び・噛み合わせを正常に整えて、咀嚼・嚥下、発音、呼吸といった口腔内の機能を向上する効果も期待できます。

▽インビザライン矯正の症例はコチラ!

【小児矯正】子供の叢生|インビザライン(マウスピース矯正)の症例をご紹介 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)

小児矯正は早期開始が大事な理由

小児矯正は大人の矯正とは考え方が少し異なります。

大人になると顎の骨格的成長は終わり、既に歯並びが完成していますので、歯並びを改善するためには顎の不調和を調整しなければなりません。

骨格的な要因が大きい場合には矯正治療だけでは対応できず、顎の位置や大きさを改善するために外科手術が必要になる場合があります。

一方で子供の矯正では顎が成長している時期を上手く利用して、上下の顎の成長・発達を適切な方向へコントロールすることが可能です。小児矯正だからこそできるアプローチです。

小児矯正では矯正装置を付けると同時に「口腔筋機能療法(MFT)」を並行して行うことで、根本的な原因を改善しながら、早期にコントロールすることができるのです。

永久歯が生え揃った頃には十分な顎のスペースが出来上がりますので、大人になった時に矯正治療をする時には短期間でスムーズな治療となり、早期矯正の意味は大きいといえます。

▽小児矯正のゴールデンタイムはコチラ!

小児矯正のゴールデンタイムは5歳前と言われる理由は?上顎の骨の特性にあった! – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)

子供の歯並び相談は「ABC Dental」へお気軽にどうぞ

当院の小児矯正では、お子様それぞれの歯並びとお口の状態に合わせて、お口のトレーニングの種類を選択し、一人ひとりに合わせたプランニングをご提案いたします。

子供の適応能力は素晴らしく、数週間で食べ方や呼吸が改善されるケースも多くあり、子供のうちに矯正を始めるメリットを日々、肌で感じております。

お子様の歯並びが気になる方は、ぜひお子様と一緒に大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門「ABC Dental」の無料カウンセリングをご利用くださいませ。

▽お問い合わせはLINEからお気軽にどうぞ!

まとめ

子供の歯並びが気になる保護者様は多いと思いますが、決して見た目だけの問題ではなく、食生活で食べにくさや噛みにくさといった口腔機能の低下にも繋がるので注意が必要です。

東雪谷、南雪谷、雪谷大塚町、上池台、久が原、南馬込、北馬込、西馬込、東馬込、仲池上、北嶺町、東嶺町、西嶺町、池上、下丸子などのエリアからも通いやすい小児歯科医院です。

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