「小児矯正を始める時期は なるべく早いほうがいい 、 マウスピースの適齢は3歳〜5歳 とよく聞きますが、実際には何歳くらいに始めると良いの?子供のマウスピース矯正を始める適応年齢を歯科医が徹底解説します。」
みなさん、こんにちは!
東京都大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門の歯科医院「ABC Dental」の院長です。
近年、子供の矯正治療の方法は、従来のようにワイヤーを使わずに、マウスピースを装着する「マウスピース矯正」の人気が高まっています。
小児矯正を始める時期は「なるべく早いほうがいい」、「マウスピースの適齢は3歳〜5歳」とよく聞きますが、実際には何歳くらいに始めると良いのでしょうか?
今回は、子供のマウスピース矯正を始める適応年齢について詳しく解説していきます。
▽先読み!この記事で分かること
・子供のマウスピース矯正の適齢は3歳くらい
・1歳の差でもパフォーマンスの差が出てくる
・子供の矯正治療は2段階の治療期間がある
・下顎前突(受け口)は早期治療の対象
・子供のマウスピース矯正を受けるメリット5つ
Table of Contents
ご質問:子供のマウスピース矯正は何歳から開始したほうがいい?
ご質問をいただきました。
ご質問者様:3歳児のお母様
子供の矯正に関心があり、歯科医院に相談しました。マウスピース矯正はなるべく早くから開始した方が良く、「3〜5歳ぐらいに始めるといい」と言われました。
友人と話していると、友人が通っている歯科医院は「5〜6歳から始めましょう」と言われたそうで、歯科医院によって説明が異なるので困ってしまいました。
夫は「適齢が3〜5歳ならば、5歳から始めればいい」と考えていますが、私は早いうちに始めたほうがいい気がするので、3歳からの方が良い選択になると思っています。
3歳で始める場合と5歳で開始する場合は何が違うのか、1歳でも早く開始が良いのか教えていただければ助かります。よろしくお願いします。
回答:適齢は3歳くらいです
ご質問ありがとうございます。
小児矯正(マウスピース矯正)を開始する年齢についてお困りとのことですね。
子供のマウスピース矯正をする目的は、歯を動かすというよりも、顎の成長と口周りの筋肉の発育を適切に促して、これから生えてくる永久歯がきれいに並ぶための「土台づくり」がメインです。
子供のマウスピース矯正は成長発育を利用する治し方になりますので、まだ顎が柔らかい早い年齢のうちに治療を始めるほうが、成長を利用しながら進めることができるので有利です。
ただし、マウスピース矯正を始める年齢はお子様一人ひとりの状態によって異なり、一概に何歳から何歳までがベストと決まっているわけではありません。
当院が推奨している小児矯正(マウスピース矯正)の適齢は3歳くらいですが、他にもいろんな要素を含めて総合的に考える必要があるため詳しく説明していきます。
▽歯科医によって説明が違うのはなぜ?
歯科医院によって、小児矯正がメインか、成人矯正がメインかによっても意見は変わってきますし、歯科医院の方針によっても治療の開始時期について、考え方は異なることがあります。
小児矯正を始める前に、いくつかの歯科医院に相談をして、納得してから治療を開始されることをおすすめします。
小児矯正(マウスピース矯正)の適齢は3歳である理由
「歯の矯正」と聞くと、歯並びを整えて、見た目を良くするイメージがありますが、子供のマウスピース矯正の場合、将来生えてくる永久歯がきれいに並ぶための土台作りが目的です。
マウスピース矯正治療は大人になってからでも受けることができますが、顎の成長を良い方向に向かわせて、歯並びの土台を作ることは大人になってからではできません。
そのため、小児矯正(マウスピース矯正)は成長過程にある子供だからこそ、成長している今だからこそできる治療法といえるでしょう。
小児矯正では、成長発育を良い方向に誘導していく治し方をするので、なるべく低年齢からスタートし、成長が終わる前に治療を終わらせておくことがベストです。
一般的に、小児矯正(マウスピース矯正)の適齢は3歳になってから始めると、お口の中でマウスピース装置がしっかりと安定します。
2歳半でも装置を使えるお子さんは稀にいますが、あまり年齢が低すぎると、装置が不安定になり、正しく使うことが難しいので、当院では3歳になってから治療開始をおすすめしています。
3歳で開始と5歳で開始する違いは?
結論から申し上げますと、1歳の差でかなり違いがあります。
3〜8歳ぐらいまでの間は顎の発達時期になるため、小児矯正が成功するかどうかは、この顎の発達時期にいかに適切な方向へ成長をさせることができるか、にかかっているのです。
3歳・4歳・5歳のあたりは、お子様一人ひとりによって成長の度合いが異なりますので、3歳で始めるか、4歳で始めるか、5歳で始めるかによってパフォーマンスの差が出てきます。
7歳・8歳・9歳から矯正を開始すれば、成長を最大限に利用できないため不利になりますので、「小児矯正は早いほうがいい」とよく言われる理由がご理解いただけるかと思います。
低年齢の方が、歯並びが悪化する癖が改善されたり、歯列が正しい位置に改善される効果が現れるのが早いため、年々、マウスピース矯正の開始年齢は早くなっている印象です。
ちなみに、大人用のマウスピースの素材はポリウレタン製で少し硬めですが、子供用のマウスピース矯正はシリコン製で柔らかく、小児矯正はお子様にとって負担が少ないのもメリット。
当院でも、近年の傾向としては「子供にあまり無理をさせずに治したい」と希望される親御様が多く、余裕を持って低年齢から治療を進めるケースが増えています。
子供の矯正治療は2段階の治療期間がある
歯の矯正は大きく分けて、「小児矯正」と「成人矯正」の2つに分けることができますが、「小児矯正」はさらに「一期治療」と「二期治療」に分けられます。
※小児矯正を「一期治療」、成人矯正を「二期治療」とする場合もあります。
ここからは、「一期治療」と「二期治療」の目的と年齢についてみていきましょう。
第1期治療の目的と年齢
▽第1期治療の目的
・顎骨の発育を適切な方向に促す
・永久歯をきれいに並べるためのスペースを確保する
・上の顎の幅が狭い場合は、拡大床を使って正常な幅まで拡大する
「第一期治療」では、子供の顎の成長を適切な方向に促して、これから生えてくる永久歯がきれいに並ぶためのスペースを確保するために治療を行います。
装置を使って、顎の骨や骨格を整える矯正をします。自分で取り外しできるので歯磨きもしやすいです。
「第一期治療」にしっかりと永久歯が並ぶ土台作りができれば、「第二期治療」へ続くときに抜歯が不要になったり、「第一期治療」だけで治療が完了することもあります。
▽第1期治療の適齢
「第一期治療」は乳歯から永久歯に完全に生えかわる年齢までに開始する必要がありますので、適用範囲の上限は3歳~9歳です。
5~6歳までに矯正歯科医に歯並び相談をして、永久歯が生え揃うまでに治療をすれば、将来の歯並びやかみ合わせの問題を早期に発見し、機能を改善することができます。
3歳~6歳はまだ乳歯の状態ですが、これから永久歯に生え変わっていきますので、一般的には6歳までに矯正治療を始めて、歯並び悪化に繋がる悪癖を改善されるとよいでしょう。
第2期治療の目的と年齢
▽第2期治療の目的
・かみ合わせ、歯並びを調整する
・成人矯正よりも歯が動きやすい
・1期治療で土台ができていれば、治療期間は短くなる
▽第2期治療の適齢
第2期治療はすべての永久歯が生え揃った段階で行われますので、年齢の目安は個人差がありますが、だいたい12歳くらいに始めます。
実際に永久歯を動かして、見た目をきれいに整えることを目的とし、マウスピース矯正のほか、ワイヤー矯正や部分矯正などの治療法があります。
まだ完全に骨や歯が固まっていない段階ですので、成人矯正よりも歯が動きやすく、1期治療で土台ができていれば、治療期間は比較的短くなるでしょう。
下顎前突(受け口)の症状がある場合は早期治療の対象
子供のマウスピース矯正の開始時期は、永久歯が生え揃う6歳までには始めたほうがいいと述べましたが、下顎前突(反対咬合)の症状がある場合はさらに早期治療が必要です。
下顎前突(かがくぜんとつ)とは下の顎や前歯が前方へ飛び出しており、一般的に「受け口」や「しゃくれ」と呼ばれている状態のことです。
上顎よりも下顎の骨格が大きいお子様や、下の顎の大きさが正常であっても、上の顎の成長が遅れている場合は、上下の顎のアンバランスが悪くなり、下顎が前方へ突出してしまいます。
このような下顎前突(受け口)の症状が見られるは早期治療の対象となり、乳歯の生え揃う3歳のころまでに治療を開始されても早すぎることはありません。
大人の矯正治療は何歳まで受けられるの?
歯の矯正治療に年齢制限はなく、歯の健康状態が良い状態に保たれていれば、大人になってからでも受けることができます。
ただし、歯がきれいに並ぶためのスペースを確保して、土台作りができるのは小児歯科だけのメリットです。
年齢は上がれば上がるほど成長を利用できる期間が限られているため、小児矯正と成人矯正をセットにしたような治療計画を進めるとよいでしょう。
子供がマウスピース矯正を受ける5つのメリット
ここからは、早い段階でマウスピース矯正を受ける5つのメリットについてご紹介します。
1. 歯並び悪化の癖を改善できる
永久歯が生え揃った頃に、歯並びが悪くなる原因は指しゃぶりの癖や舌で歯を押し出す癖、口呼吸になっているなど、様々な原因が影響しています。
マウスピース矯正は、トレーニングによって顎の成長とお口まわりの筋肉を増強し、鼻呼吸へ改善したり、歯並びが悪くなる習癖を見直して、永久歯を正しい位置に導くことができます。
2. 抜歯リスクを避けられる
小児矯正では永久歯がきれいに並ぶために顎の幅を広げて、スペースを確保できるため、多くの場合、抜歯のリスクを避けられるのがメリットです。
子供の顎の骨は柔らかく、まだ成長過程にありますので、大人になってから矯正するよりも歯が動きやすく、痛みを最小限に抑えられる点も嬉しいポイント。
3. 口腔内環境が良くなる
子供のうちにマウスピース矯正を始めることで、食後にブラッシングする習慣がついて、虫歯や歯肉炎の発症リスクが抑えられて、口腔内環境が良くなります。
乳歯が虫歯になると、永久歯が生えてきたときに虫歯になりやすい口腔内環境になったり、歯並びにも影響しますので、小児矯正治療は大切な歯を守ることができます。
4. 顔のバランスが整う
顎と顔の骨格の成長は6歳頃までに80%完了しますで、6歳までに小児矯正することで、顎の成長を適切な方向へ促すことができ、顔のバランスが整えられるのがメリットです。
口周りの筋肉を鍛えて、舌の癖や舌の位置を改善することで、歯がきれいに並ぶ土台が出来上がり、骨格のゆがみを改善して、顔の発育に良い影響を与えるのです。
5. 後戻りしにくい
小児矯正は歯並びが悪くなる根本的な原因にアプローチして、きちんと歯が並ぶ土台を作ることができるため、後戻りしにくい点もメリットです。
大人になって矯正すると、骨や顎の形が固まっているために根本からの改善は難しく、歯が動くのも時間がかかることがありますが、小児矯正にはその心配がありません。
子供のマウスピース矯正は歯科医院に早めに相談しましょう
子供のマウスピース矯正は早い年齢の方が推奨されますが、お子様一人ひとりの状態によって適切な治療開始時期は変わってきますので、まずは歯科医院に相談しましょう。
まだ乳歯だけが生えている段階でも、歯科医院のカウンセリングを受けることで、今後どんな問題が起こる可能性があるか、歯並びの異常などを診断してもらうことができます。
信頼できる歯科医院の診断の下、最適な治療開始時期を決定し、将来も満足できる歯並びと虫歯や歯周病の予防に繋がる健康的な口腔内環境を目指しましょう。
まとめ
大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門「ABC Dental」では初診カウンセリングにてお子様一人ひとりに最適な治療開始時期を見極めて、矯正治療をご提案いたします。
初診カウンセリングは無料です。小児矯正のご相談はまでどうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。
東雪谷、南雪谷、雪谷大塚町、上池台、久が原、南馬込、北馬込、西馬込、東馬込、仲池上、北嶺町、東嶺町、西嶺町、池上、下丸子などのエリアからも通いやすい小児歯科医院です。
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【医院情報】
ABC Dental 子ども専門 小児歯科 矯正歯科
東京都大田区田園調布2丁目39−12