子どもの飲み込み方が気になる |食べるのが遅い原因と 正しい嚥下のポイント
子どもが食べるのが遅い、いつまでも飲み込めない——こうした悩みの背景には、口腔機能の発達不足が隠れていることがあります。
子どもは親の食べ方・飲み込み方をよく観察し、真似をして覚えていきます。もし誤った飲み込み方が習慣になると、顎の成長・発達を妨げ、将来の歯並びにも大きく影響するため、早めに気づいて改善することが大切です。
このページでは、正しい飲み込み方の4つのポイント、口腔機能発達不全症のサイン、家庭でできるトレーニングについて解説します。
なぜ正しい飲み込み方が 大切なのか
「学ぶは真似ぶ」というように、子どもは親がやっている何気ない習慣を観察しています。食事の時には、親が食べ物や飲み物をどうやって飲み込んでいるか、子どもはしっかりと見ています。
人間は成長する過程において、乳児期の「乳児型嚥下」から3歳頃に「成人型嚥下」へと移行し、正常な舌の位置を覚えて正しく飲み込めるようになります。しかし現代の子どもは、食生活の変化によって「乳児型嚥下」の習慣が抜けないケースが増えています。
子どもが誤った食べ方や飲み方を続けていると、適切な顎の成長・発達を妨げてしまい、結果的に顔貌の形成、歯並びにも大きく影響します。大人になっても食事中にくちゃくちゃと音がしたり、食べこぼしが多い人は、子どもの頃に悪習癖として身に付いてしまったことが原因です。
幼児期の乳歯列期は口腔機能が形成される大切な時期です。子どものうちに正しい食べ方・咀嚼・飲み込み方を身に付けておくことが重要です。飲み方のステップアップについてはストローマグと歯並びの関係もご参照ください。
正しい飲み込み方 |4つのチェックポイント
①食べ物をしっかり咀嚼する
よく噛んでから飲み込むことで消化しやすくなり、胃や腸への負担を軽減できます。子どものうちによく噛む習慣を付けることで、歯と歯周組織、お口周りの筋肉に刺激が伝わり、正しい噛み合わせと骨格の形成・成長へとつながります。
②舌先がスポットに触れている
食べ物を飲み込むときには、舌先が上の前歯の裏側あたり(スポット)に触れている状態にあり、舌全体が上顎に吸い付いている必要があります。飲み込むときに舌が前方に出てしまう場合は、「乳児型嚥下」の癖が抜けていないと考えられます。詳しくは舌の位置が低いと歯並びにどう影響する?をご覧ください。
③唇は力まず自然に閉じている
飲み込むときには唇が自然に閉じた状態が正常です。「乳児型嚥下」の習慣が残っている子どもの場合、お口が開いたまま飲み込もうとするのでこぼしてしまいます。口周りの筋肉が収縮していたり、下唇と顎先の間にしわが寄っている場合には上手く飲み込むことが難しくなります。
④奥歯を軽く噛み締めてから飲み込む
飲み込むときには奥歯でやや強めに噛んでから飲み込むことが大事です。上手く奥歯の噛み締めができていない場合は、上下の歯の隙間に舌が入り込んでいる可能性があります。舌で前歯を押し出す癖は出っ歯や受け口の原因になるので注意が必要です。
こんなサインがあったら要注意 |口腔機能発達不全症とは
子どもが食べ物を噛みにくそうにしている、上手く咀嚼ができていない、飲み込みがスムーズにいかない場合は、「口腔機能発達不全症」と呼ばれる症状の可能性があります。咀嚼、嚥下、話すといった口腔機能に問題がある状態です。
近年、食生活の変化や咀嚼回数の減少により、子どもが口腔機能発達不全症になるケースが増えています。「乳児型嚥下」が残っている場合、舌で前歯を押しながら飲み込むため、歯並びが乱れる原因にもなります。
▽ 口腔機能発達不全症のチェックリスト
- 食べるのが遅い(毎回30〜40分以上かかる)
- 上手く飲み込めない・むせることが多い
- 上下の歯が上手く噛み合っていない
- 口呼吸になっている
- いびきが大きい
- 食べこぼしが多い
- 舌を前に押し出して飲み込む
上記の症状がある場合は、口腔機能発達不全症の可能性があります。子どもの発育に大きく影響しますので、お早めに小児歯科を受診しましょう。口呼吸の習慣についてはよだれの原因と対処もあわせてご覧ください。
家庭でできるトレーニングと 専門的な治療
自宅でできる舌・唇のトレーニング
普段の食事で「よく噛んで飲み込みましょうね」と言っても、舌の癖や口呼吸の習慣がある場合、口周りの筋肉を鍛えることは思ったよりも難しいでしょう。以下の練習を日常に取り入れてみましょう。
- 舌先スポット練習 — 舌先を上顎のスポット(前歯の後ろの膨らみ)に置く → 唇を閉じて鼻呼吸 → 静かに唾を飲み込む
- 風船ふくらまし・シャボン玉遊び — 口輪筋を鍛える遊び感覚のトレーニング
- よく噛む食事の意識 — 一口ごとに20〜30回噛むことを目標に
具体的な方法は舌トレ(自宅でカンタン)で詳しく紹介しています。口の周りの筋肉づくりには口腔筋肉を鍛える風船トレーニングも効果的です。
口腔筋機能療法(MFT)によるアプローチ
自宅だけでは改善しづらいケースでは、マウスピース(MFT用トレーナー)を使った口腔筋機能療法(MFT)が有効です。起きている時間に1〜2時間装着し、お口のトレーニングを同時に進めることで口腔機能を鍛え、正しい噛み合わせと歯並びへの改善が期待できます。
子どもの歯並びは日常の呼吸法、姿勢、飲み方などによって噛み合わせが決定され、口腔機能が形成される「乳歯列期」が最も大切な時期です。3歳から治療を開始できます。
- 誤った口腔習癖の改善
- 顎の発達を促進
- 正しい舌の位置を習得
- 口呼吸から鼻呼吸への改善
- 噛み合わせ・歯並びの改善
口腔筋機能療法(MFT)の詳細はこちらのページで解説しています。滑舌と歯並び・舌の関係についてもあわせてご確認ください。
よくある質問
子どもが「食べるのが遅い」のは問題ですか?目安はありますか?
食事が毎回30〜40分以上かかって残す、噛む回数が極端に少ない、飲み込む直前に口や顎に力が入りやすい、などが続く場合は「飲み込み(嚥下)」や「噛む」の機能に課題がある可能性があります。
飲み込みがうまくできない子に見られやすいサインは?
「舌を前に押し出す」「頬や唇・顎の力で無理に飲み込む」「食べこぼしが多い」「姿勢が安定しない」などは、飲み込みのサインです。
舌の位置が低いと、飲み込みに影響しますか?
はい。舌の位置が低いと上顎に舌先が届かず、正しい飲み込みの動きが作りにくくなります。結果として前歯で噛みにくい・食べづらいにつながることもあります。詳しくは舌の位置が低いと歯並び・機能にどう影響する?をご覧ください。
自宅でできる「飲み込み」の練習はありますか?
あります。例えば「舌先を上顎のスポット(前歯の後ろの膨らみ)に置く→唇を閉じて鼻呼吸→静かに唾を飲み込む」の流れを覚える練習は効果的です。舌トレ(自宅でカンタン)や、口の周りの筋肉づくりに役立つ口腔筋肉を鍛える風船トレーニングも参考にしてください。
よだれが多い・うまく飲み込めない時はどうしたらいい?
飲み込みのタイミングが取りにくい、舌・唇の筋肉が弱いなどでよだれが増えることがあります。生活の中での対策や受診の目安は、よだれの原因と対処で解説しています。
「さ・し・す・せ・そ」が言いにくいのは飲み込みとも関係しますか?
発音と舌の使い方は近い関係にあります。飲み込む動きが未熟だと、舌のコントロールが難しくなる場合があります。気になる方は滑舌と歯並び・舌の関係をご覧ください。
専門的な指導(MFT:口腔筋機能療法)は必要?
自宅だけでは改善しづらいケースでは、正しい舌の位置・唇や頬の筋肉の使い方を練習する口腔筋機能療法(MFT)が有効です。年齢や症状に合わせた進め方をご提案します。
お子さまの飲み込み・食べ方の ご相談はお気軽に
お子さまの食べるのが遅い・飲み込めないといった心配がある方は、ぜひお子さまと一緒に田園調布の小児矯正専門 ABC Dentalのカウンセリングをご利用ください。口腔機能の状態を確認し、お子さまに合ったトレーニングや治療プランをご提案いたします。
初診カウンセリングの流れはこちらのページでご案内しています。
