風船を膨らませない子どもが増えている |口腔筋肉の発達不足と改善法
近年、風船を膨らませることができない子どもたちが増えています。遊びの多様化や柔らかい食事中心の食生活により、お口周りの筋肉(口輪筋)が発達不足になっている傾向にあります。
当院で100名近くの子どもたちに試したところ、しっかり大きく膨らませることができたのは半数以下という結果でした。口輪筋の発達不足は歯並びや呼吸、発音にまで影響を及ぼします。
このページでは、口腔機能発達不全症のチェックリスト、口腔筋肉を鍛える遊び、マウスピース(MFT用トレーナー)による改善について解説します。
風船を膨らませない子どもが 増えている理由
子供が風船を膨らむことができない理由として、遊びが多様化して風船遊びをしなくなったこと、食事は柔らかく小さくカットされた食べやすいものが多いこと、鼻呼吸ができずに口呼吸の習慣になっていること、舌で歯を押し出す癖があること、などが挙げられます。
これらによって口周りにある筋肉(口輪筋)を使う機会が減り、筋肉の発達・成長不足となっているため、結果的に口腔内機能が低下しています。お口が常にポカンと開いていると口呼吸になり、風船を膨らませることも難しくなります。口呼吸や舌で歯を押しだす癖があると出っ歯(上顎前突)の症状が目立ってくるため、早めに歯科医院で相談されるとよいでしょう。
口腔機能発達不全症とは
生まれつきの疾患がなくても、子供が成長の段階で口周り・顎などの筋肉が十分に発達・成長せず、食べる・話す・呼吸などの口腔機能が低下するケースが増えています。こういった症状を「口腔機能発達不全症」といいます。
▽ お子様は大丈夫?チェックリスト
- 風船を上手く膨らませることができない
- 安静時にお口が常にポカンと開いている
- 口呼吸をしている
- 大きないびきをする
- 歯並びが悪い
- 3歳以上でも指しゃぶりの習慣がある
- 舌を出す、舌で前歯を押す、唇を噛む・吸う癖がある
▽ 食事の様子をチェック
- 食事で上唇や舌を上手に使うことができない
- 上唇をうまく使って口に入れられない
- 食べ物を吸い込むようにして口に入れる
- スプーンに乗った食べ物をこぼす
- 食べるとき、飲むときに舌が出る
口腔機能発達不全症の 5つの影響
①歯並びが悪くなる
柔らかい食べ物中心の食事や口腔習癖がある場合、顎骨が十分に成長せず、歯列が出っ歯、受け口、ガタガタなど乱れてしまう可能性があります。
②呼吸がしにくくなる
唇を閉じる力(口唇閉鎖力)が弱い場合、口呼吸になってしまいます。口呼吸は鼻腔や気道が狭くなるため、呼吸がしづらくなります。
③食事が難しくなる
口腔機能が十分に発達しなかった場合、食事中にしっかり噛んで飲み込むといった一連の行為が難しくなり、くちゃくちゃ音がしたり食べこぼすことが多くなります。
④発音しづらくなる
口腔機能が十分に発達しなかった子供は、特にカ行・サ行・タ行・ナ行・ラ行の発音が難しくなる傾向にあります。詳しくは滑舌と歯並び・舌の関係をご覧ください。
⑤顔つきや姿勢への影響
顎骨が横幅に広がらないため全体的に面長に見えたり、口呼吸によって鼻腔・気道が狭くなると猫背の姿勢になりやすくなります。
お口ポカンの原因と対策や舌の位置が低い場合の影響もあわせてご覧ください。
口腔筋肉を鍛える 遊びとトレーニング
子供の口腔筋肉を鍛える遊びを日常に取り入れましょう。安全のため、必ず保護者の方と一緒に行ってください。
- 風船を膨らませよう — 舌と唇の筋肉を鍛えるトレーニング。100円ショップで手に入ります
- フーセンガムを膨らませよう — 咀嚼回数を増やし、舌と唇の筋肉をしっかり使えるトレーニング
- あっぷっぷ遊び — 「にらめっこしましょ!あっぷっぷ!」で唇を尖らせたり頬を膨らませたり
- ラッパのおもちゃ — 1歳くらいから唇を使ってプーっと音を出す練習に
- ろうそく消し — 誕生日ケーキのろうそくをフーっと消す。2〜3歳くらいから
- フーフー冷まし — 熱い飲みものやスープをフーフーと冷ます
- ブクブクうがい — 上唇、下唇、右頬、左頬と順番にやると効果的
舌のトレーニング方法は舌トレ(自宅でカンタン)で紹介しています。正しい飲み込み方の練習は正しい飲み込み方のポイントもご参照ください。
マウスピース(MFT用トレーナー) による改善
日常の遊びやトレーニングだけでは口腔機能の向上が難しい場合、マウスピース(MFT用トレーナー)を使った口腔筋機能療法(MFT)が有効です。3歳から利用でき、1日1〜2時間と夜間就寝中に装着し、口腔筋肉の発達・成長を促して歯並び悪化の予防・改善につなげます。
口腔筋機能療法では、歯並び悪化の原因となる口腔習癖を改善し、顎骨の発達を促し、正しい舌の位置を覚え、口呼吸から鼻呼吸へ改善していきます。
- 口腔習癖(指しゃぶりや舌の癖など)の改善
- 顎骨の発達・成長を促進
- 正しい舌の位置を習得
- 口呼吸から鼻呼吸への改善
- きれいな歯並びの土台づくり
口腔筋機能療法(MFT)の詳細はこちらのページで解説しています。
よくある質問
風船をふくらませられないのは「異常」ですか?
口の筋肉(唇・頬・舌)の発達不足はどう見分けますか?
チェックの目安は、舌がいつも下にある・飲み込む時に口元や顎が過剰に動く・滑舌が不明瞭などです。関連ページ:舌の位置が低いと歯並びに与える影響/正しい飲み込み方/滑舌と歯並びの関係
練習だけで改善しますか?(風船トレーニングの可否)
むやみに風船だけ練習するより、呼吸・舌・口唇を全体で整える口腔筋機能療法(MFT)が有効です。ご家庭で始めやすい舌トレから取り入れると安全です。
何歳から対応を考えるべき?
目安は3〜6歳のうちに呼吸と舌の使い方の習得を検討します。早期介入の考え方は「5歳前後の矯正について」も参考になります。
風船がふくらませないと歯並びに影響しますか?
口唇閉鎖が弱く舌が低位だと、前歯で噛みにくい開咬に関連することがあります。呼吸・嚥下・舌位を合わせて評価するのが近道です。
鼻づまりで息が続かない場合の対策は?
まずは生活の中で鼻呼吸に切り替える工夫を。原因別の整理はお口ポカンの原因と対策をご参照ください。アレルギー性鼻炎などが疑われる場合は耳鼻科との併診も有効です。
治療が必要になるとしたら、どんな方法がありますか?
基本はMFTで機能を整え、土台に骨格や歯列の幅の課題がある場合は拡大床(床矯正)などを併用することがあります。装置の選び方は装置・治療法から探すで比較できます。
自宅でできるサポートは?
鼻呼吸を意識し、よく噛む食事など「口をしっかり閉じて舌を上に置く」感覚を日常で練習しましょう。安全に始めるには舌トレの基本から。
まずは相談だけでもできますか?
当院は来院不要の初診電話カウンセリングからご案内しています。手順は初診の流れをご確認ください。
他にも気になることがある場合は?
一般的なご不安はよくある質問(Q&A)にもまとめています。あわせてご覧ください。
お子さまの口腔機能・歯並びの ご相談はお気軽に
子供の口腔筋肉の発達不足は普段の生活からは気が付かないことが多く、将来の噛み合わせの問題や歯列の乱れにつながるリスクがあります。生涯にわたって健康な口の土台作りを整えるためにも、子供のうちから顎や口腔の筋肉を十分に鍛えておくことが大変重要です。お子さまの歯並びが気になる方は、ぜひ田園調布の小児矯正専門 ABC Dentalのカウンセリングをご利用ください。
初診カウンセリングの流れはこちらのページでご案内しています。
